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02_東紀州地域の星空の観光資源化(神々が愛した星空発信プロジェクト)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

東紀州地域は世界遺産の熊野古道をはじめとした文化的資源や豊かな自然があり、観光資源として活用されている。一方で、当該地域は国内有数の美しい星空が見られるにもかかわらず、その価値がほとんど認識されてこなかった。昨今、「星空ツーリズム」という言葉が生まれ、美しい星空を見たいという層が増えている。例えば長野県阿智村は「日本一の星空」をキーワードに星空を資源化し、人口7000人弱の村に年間10万人を超える人が星空を見るためにやってくるまでになっている。これにより宿泊施設だけでなく飲食店や土産物店、輸送業等にも経済的波及効果が生まれている。東紀州地域は世界遺産の熊野古道を有し、文化的知名度は世界クラスである。昼間の充実したアクティビティに夜間のアクティビティを加えることができれば、日帰りで東紀州を訪れていた層に宿泊してもらうことができ、活性化に貢献できる。

星空を観光資源化する場合、単に星空を眺められる場所を提供すれば良いわけではない。星空をどのように紹介するか(コンテンツの作成,曇天・雨天時の対応)、星空解説を担う人材の育成、宿泊地と観望場所への交通、良好な星空環境の維持(照明環境の整備)、情報の発信(都市圏へのPR)など、様々な分野との連携が必要となる。

以上を踏まえ、本活動では星空をキーワードに地域活性化を行うための課題抽出と解決策の検討を行うとともに、東紀州地域の特性を活かした資源化の提示を目指す。

2.活動地域と内容

一昨年度よりパイロット的な取り組みとして熊野市を対象として活動を行っており、星空観察会等のイベントを実施しており、星空観光の可能性について国際学会で発表を行っている。また、星空案内用のパンフレット(くまっぷ)の作成も行っている。今年度は継続的な活動を行うための人材育成および、そのための支援体制整備を主として行っていく。人材育成については、例えば「星のソムリエ」認定制度等を利用した人材養成のための講座を開設している地域もあるが、必ずしも三重県南部地域の状況にマッチするものではないと考えており、ICTの活用も含め、当該地域で適切な人材育成の形を構築することを目指す。

また、これまで熊野市の範囲で考えてきたが、尾鷲市(大型望遠鏡施設あり)や紀宝町(キャンプ場での観望会の実施)等、広域な連携を図ることで、効果的なPRが可能となる。連携地域の拡大を図ることで継続的な取り組みも可能となるため、これまでの取組みを基に熊野市周辺地域との連携を図ることも今年度の柱となる。東紀州地域には、外国資本の体験型宿泊施設がオープンする。星空観望は、この施設での夜のアクティビティの1つとなり得るものであり、当該地域に星空観光に対応できる人材を育成することは地域活性化においても重要な要素となる。

3.期待される活動成果等

  • 地域住民に観光資源として認識してもらうことで、良好な星空環境維持が図られる。
  • 星空を目的とした観光客と宿泊の増加が期待される。
  • 様々な業種を横断的な取り組みにできる。
  • 地域での自立・継続的な活動をしていく人材を育成できる。

→2020年度活動状況報告書