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02_忍者活劇体験のプログラム開発による地域振興

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

伊賀市は忍者の聖地であり忍者市を宣言している。忍者に関心のある多くの観光客が国内外から訪れている。観光では、伊賀流忍者博物館の見学のほか忍者変身処での忍者変身がたいへん好評であり、観光の目玉になっている。しかし、ただ忍者装束を身にまとうだけでは、忍者を体験したとも、忍者を学ぶことができたともいえないのではないか。

欧米で1990年代から行われてきたレクリエーションにLARP(Live Action Role-Playing)がある。架空世界の登場人物となってフィールド内(建物や一定の敷地)を歩きまわり、会話や戦いなどを行いながらストーリーを楽しむ体験型のアトラクションである。脱出型ゲームやサバイバルゲームに類似するもので、参加者の他に司会進行役が存在し、ファンタジーやSFといった世界観のもとで遊ぶのが常である。テレビゲームなどのRPGに似ているが実際に立って(Live)、行動して(Action)、なりきる(RolePlay)ところに特徴がある。欧米ではファンタジーやミステリーをテーマに大規模から小規模のものまで実施され、商業化されたメジャーイベントである。

このLARPを三重大学の忍者研究の成果を活用して日本化し、忍者を題材にした「忍者活劇体験」(忍者LARP)のプログラムを開発して、新たな観光の柱とするのが本事業の目的である。

LARPはもともとアメリカ発祥のため、西洋的ファンタジー世界を題材にしたものが多かった。西洋的ファンタジー世界を再現するには衣裳や道具そしてロケーションなどの獲得に様々な困難がともなう。これを日本を舞台にした時代劇とし、また忍者を主役にした「忍者活劇体験」(忍者LARP)にしてはどうかと考えた。伊賀市は古き日本のおもかげを残し、忍者変身処があるので忍者衣裳の用意に事欠かない。

すでに一年目の実施を完了した。一年目は春の伊賀NINJAフェスタと秋のいがぶらにくる観光客を対象とした「伊賀忍者活劇体験」プログラムを実施した。システムとシナリオはグループSNEの時代小説家の友野詳氏に作成してもらい、伊賀市石川で忍者道場を経営する三橋源一氏による技術指導を得て、国内でLARPに先進的な取り組みをしてきた体験型LARP普及団体CLOSSの協力で実施した。三重大学で忍者研究を行っている吉丸雄哉が内容を監修した。一年目では春に28名、秋に14名の参加があった。有料参加者では平均して客単価4500円の見込めることが判明した。

本プログラムの開発により、ただ忍者衣裳を着るだけではない、一ランク上の忍者体験と学習を観光客に用意できることとなったが、二年目以降は内容と運営の洗練をはかり、満足度の向上をはかる予定である。 二年目には地元伊賀で忍者パフォーマンスを行ってきた「忍び衆 華武姫」が全面的に運営に参加してくれることになっている。一年目での成果を二年目以降に活かせ、事業の拡大が見こまれる。

2.活動地域と内容

伊賀市において忍者活劇体験を実施し、地元の人を対象とした運営研修を開催する。
具体的には次の通りである。

  •  ①伊賀上野NINJAフェスタ期間のうち三日間を予定し、ハイトピア伊賀など伊賀上野NINJAフェスタの会場を利用して、観光客を対象に忍者活劇体験を実施する。
  •  ②9月20日(日)21日(祝日)の連休を利用し、伊賀市石川の三橋源一氏運営の忍者道場において、観光客を対象に野外体験型の忍者活劇体験を実施する。

3.期待される活動成果等

本プログラムの開発により、ただ忍者衣裳を着るだけではない、一ランク上の忍者体験と学習を観光客に用意できるようになり、特にすでにLARPに興味のあった外国人観光客を多く呼べるようになる。新たな産業の創生と地域振興が期待できる。

また、三重大学での忍者研究の成果を体験学習のプログラムを通じて還元できる。

→2020年度活動状況報告書