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三重県大紀町野原における安心・安全な里作りのための支援活動

 地域の「安心と安全」は、地域の「持続的な発展」と『防災力の向上」が不可欠です。当研究室では、こうした考えの基に、防災ハザードマップ作り等の地域に根ざした研究活動を実施してきました。

 特に、三重県大紀町での錦地区や野原地区での災害に強いまちづくりに関連した長年の研究活動等が契機となり、2008年11月に、本学生物資源学研究科と大紀町は相互友好協力協定を締結しました。

 その大紀町野原区において、2009年度には三重大学地域貢献事業支援助成の支援を受け、2つの活動を行いました。一つは、「持続的な発展」を目的とした野原区および野原工房げんき村の活動をインターネットで紹介するためのブログの作成、もう一つは、区域内の「防災力向上」の側面から「住民によるまち歩き」と「ハザードマップの作成」の活動をそれぞれ行いました。

 まず、野原区やげんき村の情報や様々ん活動行事について、地域内での情報共有や外部への積極的な情報配信ツールとして野原工房げんき村のページを作成しました。ページ作成ではシステム構築および、データ入力を当研究室が、必要な情報や写真を野原区自治会および協議会から提供して頂き、どちらも積極的に協力して行いました。このページはすでに運用が実施されており、誰でも閲覧することができます。(参照、野原工房げんき村 http://blog.mobmap.jp/taiki/contents

 次に、野原区での住民によるまち歩きハザードマップの作成については、前述の通り、2008年の当研究室と同地区の共同による防災訓練に続いて、昨年度も実施しました。昨年度は前年の安否確認に加えて、住民が自分の町の危険性や安全性を確認・理解するために、ハザードマップ(防災地図)作成やまちあるきを行いました。この活動は2回に分けて行われ、12月7日の防災訓練の日には、防災訓練・まちあるき・防災地図作りを実施しました。この日の活動成果をフィードバックし、1月23日に成果報告会を行いました。この活動は住民の積極的な参加もあり、両日とも約100名近い住民に参加頂きました。これらの活動で得た知見やデータは、防災力の向上の側面から、まちの情報を常に最新に保ち続けることができ、もしもの時の災害時に、正確な被害把握や分析に役立つことが期待されます。

 これらの活動を通して、同地区の自然・産業・文化・歴史等の今ある資源や資産を活かした地域の「持続的な発展」と「防災力の向上」に貢献していると考えます。本年度は前年度の活動の継続に加え、次のような活動を計画しています。まず、「持続的な発展」の側面からは、昨年度作成したページのコンテンツの拡充、及び、住民が扱いやすいようなインタフェースやシステム内部の改善を行うことを予定しています。これにより大学の支援を待たずに自分達で率先して情報の作成・配信を行うことを促したいと考えます。そして、昨年より試験的に住民へ配布した「げんき村カード」を利用したコンテンツの充実を図りたいと考えます。そして、昨年より試験的に住民へ配布した「げんき村カード」を利用したコンテンツの充実を図りたいと考えます。

 また、「防災力の向上」の側面においては、前述の地域の情報配信と連動した地域の防災情報の配信を行いたいと思います。具体的には災害時(本年度は防災訓練時)にインターネットを使って、大学や町役場など離れた所から同地区の避難(安否)状況を確認でき、情報の一部は住民もウェブで確認ができるよう仕組みを作成し、実証実験を行うことを目指します。

 これらの活動に加えて、本年は同地区から5月に開催される地元の祭りに研究室として参加を要請されており、大学および研究室の地域貢献の一貫として参加します。

 また、防災や住民活動だけではなく、農業・林業・水産・畜産等の地元産業がかかえる問題点の調査研究をはじめ、地域の発展や人材の育成を目指した地元と一体となった活動の開発を検討します。本提案活動の役割分担については、「野原村元気づくり協議会」には調査研究フィールドを提供していただくとともに、大学からの支援をもとに住民主導の情報収集などの活動をしていただきます。これにより、この地区の自然・産業・文化・歴史等の今ある資源や資産を活かした「里づくり」に少なからず貢献できると考えます。