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獣外対策により捕獲・駆除された害獣資源の有効活用-獣肉を利用した地域特産品の開発-

 近年、山村地域においてシカ、イノシシなどによる獣害が深刻な問題となっています。三重県大台町においても獣害は甚大であり、農業者の耕作・生産意欲低下や、耕作放棄地増加の原因となっています。大台町では獣害対策として、農地を防獣ネットで囲うと共に、狩猟期間に加えて個体数調整のための獣害駆除期間を設定し、シカ・イノシシの捕獲・駆除に報奨金(一頭につき一万円)を出しています。しかしながら、害獣の処分には多大な労力・費用がかかり、獣肉の有効な活用方法もないことから、十分な獣害対策効果が得られていないのが現状であります。害獣の捕獲・駆除を効果的に進めるためには、害獣やその獣肉を資源として捉え、有効活用法を見出すことが必要であります。そこで本活動では、捕獲・駆除された害獣やその獣肉をりようしたち行き特産品を企画・開発し、大台町の施設やイベントへの出品を通して「獣肉の食べ方」を広く世間に提案すると共に、獣肉の有効活用による地域活性化をめざします。また、学内活動実施者が担当する「食品デザイン学実習」に本活動の一部(地域特産品の企画・開発・改良など)を取り入れ、地域の問題を通して「自らの力で問題解決ができる知識・能力を高める」教育を行うと共に、得られた成果を地域活性化に還元します。本活動には、学内から「食品デザイン学実習」担当教員が参加し、学内施設「水産製造実験工場」を活用します。また、大台町からは獣害対策を進める町役場、獣肉の加工・流通許可をもつ食肉処理業者、農畜産資源を特産品へ加工する宮川物産や調理・提供する宮川観光振興公社(奥伊勢フォレストピア宮川山荘)が参画します。これら産・学・官の人材と施設・設備の連携により、獣肉を活用した地域特産品産業の創出とそれによる地域活性化、獣肉利用・消費の促進による獣肉対策の効率化(コスト削減など)が期待できます。

平成21年度活動報告書