clear
ツルを三重に呼ぼうプロジェクト「Crane @ Mie Project(C@MP)

【活動の概要】
1.本活動の背景,必要性,目的
(1)背景
本活動は、三重にツル(ここでは、マナヅル・ナベヅルを想定)をよぶために、農業農村工学分野の学生・教員が共にできることを考えて、実行していくことを目的としている。
現在、マナヅル・ナベヅルの越冬地は鹿児島県出水市に一極集中しており、伝染病などが発生した場合種の存亡にかかわることも考えられ、越冬地の分散が求められている。また、三重県にも毎年数羽~10羽程度のツルが越冬しているが、越冬地としての環境整備が不十分で、飛来数・飛来地が安定していない。その中で、三重県はマナヅル・ナベヅルの越冬地としては最東の地域とも言えるが、伊勢地方にはツルがくわえて来た稲穂によって水田を始めたとする「鶴の穂落とし伝説」があるなど、ツル-水田稲作という文化的な素地がある。ツルの越冬を計画するとき、おとり(デコイ)を設置したり、鳴き声で呼び寄せたりすることがあるが、休息地、採餌場は水田であることが多く、越冬に適した農地農村の環境づくりができるのは、農業農村工学分野が最適である。
以上を背景に、本活動を企画した。
(2)本活動の必要性
生態系保全・環境保全の面からツルの越冬地を三重県に作るという目的は、大前提であるが、本活動に真に期待していることは産官学連携と教育研究の向上にある。実際にツル越冬地の環境づくりをするためには、県・市・博物館との連携、野鳥の会など民間組織との連携、農家との連携など産官学の連携強化が必須となる。農業農村工学分野は、三重県と官学連携の体制を構築済みであるが、「ツルを呼ぶ」というキーワードを用いて、昨年1年間の活動成果である報告書をもとに、より実質的な活動へと協働体制を確立しつつある。また、本活動は学部3年生を中心的な活動メンバーと考えている。ツルの飛来に関しては、やることをやっても確実に飛来数が増加する保証はない。このため、長期的なスパンと当該年度の目標を見据えて、教員と共に学部3年生にツルの飛来数増加のための方策を試行錯誤していくことを考えている。取り組む学生には、「ツルを呼ぶ」というキーワードの中で、自ら学習し、教員と議論し、企画、実行する姿勢、農業農村工学の重要性と可能性を学んでほしいと考えている。さらに、「ツルをよぶ」ことを通じて、新たな研究フィールド、研究分野の開拓を期待している。
(3)本活動の目的
大きな目的は、上記したように、「三重にツルをよぶ」こと、「ツルをよぶこと」を通じて産官学の連携強化・教育研究の向上を目的としている。本年度は、昨年構築した連携体制の拡大と、3年生を中心とした組織作りを行い、2年目のツルを呼ぶ取り組みを試みてみたい。

2.活動内容
月1、2回の勉強会、野鳥調査を行う。また、活動期間中に一般市民向けに学生によるツル越冬地に関する講演会を企画実行する。また、昨年度行った現地調査結果をもとに、ツルの越冬地としてより適する地域を選定し、地元との連携関係を築く。

→平成26年度活動状況報告書