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「世界遺産・熊野古道」の保全と次代への継承

事業の概要
 (1)事業の背景と必要性
2004年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」は当時世界に2例しかない「道の世界遺産」(現在3例)として登録された。その範囲は三重県・奈良県・和歌山県の広大な地域にまたがり、熊野信仰の中心地「熊野参詣道(熊野古道)」、修験道の拠点「大峯奥駈道」、真言密教の根本道場「高野山町石道」をして神道・修験道・仏教の宗教が融和(神仏習合)し、日本の精神性を象徴しているといわれている。また、紀伊山地一帯は古くから林業が盛んな地域で、大自然と人々の暮らしとが融合した景観が形成されている。しかし、現在、熊野古道を支えている地元では語り部や担い手の高齢化、台風等による被害、産業振興に関わる多くの課題等を抱えている。これらの課題は実は日本や海外の世界遺産においても共通する課題となっている。だからこそ、世界遺産の文化的価値を“人類の宝もの”として次代に継承していく活動を、今まさに三重から全国へ、そして国境を越え、文化の違いを越えて連携・協力していく必要がある。
こうした状況をふまえて、本事業では“Think Globally Act locally”のスピリッツとESD(持続可能な発展教育)の視点を持ちながら、「紀伊山地の霊場と参詣道」の重要な資源である「熊野古道」について本質的な価値を学び、官民あげての保全活動を推進し、次代を担う若者への文化の継承を積極的に行う必要がある。

 (2)本事業の目的
①研究者(申請者)が蓄積してきたユネスコや生涯教育・社会教育等に関わる調査研究のシーズを活用して、世界遺産学習や熊野古道ツアー、熊野古道クリーンアップウオーク等を開催して、指導者養成や次代を担う若者に繋ぐ機会とする。
②教育委員会・高等学校等と連携して、熊野古道の本質や価値を広く伝える能力を備えた「熊野古道の語り部」等を養成して、地域活性化の担い手となることを目指す。
③国際社会及び我が国が目指す「地域活性化」「人材育成」「持続発展教育(ESD)」等を推進する活動を三重大学地域貢献事業として実施する。

           → 平成24年度活動状況報告書