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獣害対策により捕獲・駆除された害獣資源の有効活用 -獣肉を利用した地域特産品の開発-

事業の概要
【事業の背景と必要性】
近年,山村地域において,シカ,イノシシなどによる獣害が深刻な問題となっている.三重県大台町においても獣害は甚大であり,農業者の耕作・生産意欲の低下,耕作放棄地の増加の主原因となっている.大台町では獣害対策として,農地を防獣ネットで囲うと共に,狩猟期間に加えて個体数調整のための害獣駆除期間を設定し,害獣の捕獲・駆除に奨励金を設けている.しかしながら,捕獲・駆除された害獣の処分には多大な労力・費用がかかり,獣肉の有効活用法も無いことから,十分な獣害対策効果が得られていないのが現状である.したがって,害獣の捕獲・駆除を効果的に進めるためには,害獣やその獣肉を資源として捉え,有効活用法を見出すことが必要である.
【これまでの事業成果】
平成21年度事業では,大台町と協力して獣肉の有効活用法を見出すために,学内事業者が担当する「食品デザイン学実習」に事業の一部を取り入れ,シカ肉を利用した地域特産品の企画・開発を行った.企画製品6品目のうち,「鹿肉まん」と「ジンギ鹿ン」の2品目が学内事業者と大台町・共同実施者の間で高評価を得たため,これら企画製品を地域特産品産業の創出と獣肉利用・消費の促進化を目指す平成22年度事業に繋げることとした.
平成22年度事業では,企画製品「鹿肉まん」と「ジンギ鹿ン」のレシピや製造工程に改良を加え,企画製品の完成度を高めた.また, 11月に大台町にて開催された「どんとこい大台まつり」おいて三重大学・出展ブースを設け,一般消費者を対象とした「鹿肉まん」 と「ジンギ鹿ン」の試食・アンケート調査を実施した.その結果,「鹿肉まん」については40%以上,「ジンギ鹿ン」については50%以上の試食者から高評価を得たが,更なる改善点も見出された.
【本事業の目的】
平成23年度事業では先ず,平成22年度事業成果に基づいて企画製品「鹿肉まん」と「ジンギ鹿ン」 のレシピに改良を加え,試食・アンケート調査などを行い,製品の最終レシピを完成させる.並行して,原材料の品目・仕入れ方法や企画製品の製造工程を見直し,企画製品「鹿肉まん」 と「ジンギ鹿ン」の冷凍品の中規模生産を行う.
次いで,大台町内の施設(道の駅奥伊勢おおだい,奥伊勢PAなど)において企画製品の試験販売・提供を行う.なお, 「鹿肉まん」については,冷凍品とそれを蒸したものの両方を施設内で販売する.一方,「ジンギ鹿ン」冷凍品については,施設内販売に加え,大台町内の飲食店に提供して新メニュー開発に活用してもらう.本事業活動には,平成21,22年度事業において企画製品の試作・開発やイベントへの出展・アンケート調査に携わった学生の参加・協力を得ると共に,事業の一部を学内事業者が担当する「食品デザイン学実習」に取り入れる.本事業を学生の教育と4つの力の育成に生かし,得られた成果を地域活性化に還元する.

     → 平成23年度活動状況報告書