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尾鷲小惑星発見プロジェクト

事業の概要
教育学部では大学と尾鷲市との連携協力協定の一環として、尾鷲市天文科学館を核とした生涯学習への連携協定を締結した。尾鷲市には国内有数の大口径望遠鏡があり、この望遠鏡を活かした地域活性化事業が求められている。その一環として、地元の高校生を対象とした小惑星探査プロジェクトを立ち上げる。このプロジェクトでは、地元の高校生が1年間を通じて天体観測を行い、小惑星発見を試みるものである。本プロジェクトを通じて以下のような効果が期待できると考える。
1)参加した高校生への知的刺激
小惑星が発見された場合、その命名権は発見者(本プロジェクトでは高校生)に与えられる。自分自身で天体を発見し命名できることは、知的好奇心を強く刺激するものと考える。また、仮に小惑星が発見されなかった場合でも、既知の小惑星は多数検出されるはずであり、発見手法や継続観測を通して、科学的手法を理解し科学的思考を深める機会となると確信している。なお、高校生が恒常的に小惑星観測を行う例は全国的に非常に珍しい。これは市の中心部にある天文台であるからできることである。
2)地域における科学的関心の向上
自分のクラスメイトが小惑星を発見した、しかも、全く知らない場所でなく、いつも自分たちが傍を通っている天文台でとなると、天文学に興味・関心を持っていない生徒も大きな関心を持つであろう。小惑星の発見1回で、何回もの出張授業・出前実験を超えるインパクトを地域の小中高校生に与えられるものと考える。
3)地域の発意高揚
2)と類似するが、自宅のすぐそばにある天文台で小惑星が発見されれば、これまで宇宙とは無縁と考えていた住民に対し、宇宙を身近に感じてもらうきっかけになる上、地域に関連した名前を小惑星につけることで、地域の発意高揚を促すことができるものと期待する。
4)全国へのアピール
小惑星発見となれば新聞・TVなどでの報道も期待でき、尾鷲市天文台の存在を広めることができるとともに、夜空のきれいな街として、全国の星空愛好家に尾鷲をアピールすることができる。
5) :大学のノウハウの提供
尾鷲で小惑星を探そうという構想は以前からあったようだが、観測・検出方法・軌道計算など幾つかの面で対応が難しかった様である。今回、三重大学側が小惑星観察のノウハウを提供することは、大学における地域貢献の本道である。
6)大学生への
高校生のサポートは教育学部理科講座(特に天文学研究室)の学生があたる。彼らの多くは教職希望であるが、大学の講義・実習では高校生と接する機会はほとんど無い。その意味で、本プロジェクトは学生にとって高校生への指導を経験する機会となる。また座学で習った天体観測法を実践する場でもあり、学生にとっても実学としての天文学を学べる場ともなる。
以上、様々な側面からの効果が期待できると考える。

 → 平成23年度活動状況報告書