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31_光技術による産学官の連携と地域産業の振興(継続3年目)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

<背景>

光製品は、日常生活や各種産業のあらゆる分野で利用されている。特に、最近の白色LEDの高効率化に伴い、LED照明機器が盛んに開発され、普及が進んでいる。しかし、LED照明器具をはじめ、光製品を活用することや新製品を開拓するためには、光の基本的な特徴を十分に理解することが必要不可欠であり、そのためには光を専門とする研究者による助言と指導の役割は非常に大きい。さらに産学連携で新製品開発に取り組み、国内外で競合する製品との差別化が可能な製品が開発できれば、地域産業の活性化に貢献できるものと考えられる。

申請者はこれまでに三重県ハイテクフォーラム光応用技術研究会でアドバイザーや三重大学伊賀サテライトの兼務教員を務めることで三重県内の中小企業を中心とした産業界のメンバーと情報交換を行ってきた。また地元企業とLEDを用いた照明技術やナノ構造を用いた光学素子に関しての共同研究を行ってきた。これらの活動を通して光を用いた技術に関するニーズがあることがわかってきた。

<本活動の必要性と目的>

上記背景を踏まえ、光技術で地域産業の活性化を目指すには、三重大学、三重県、民間企業が共同で光技術の基礎と応用に関する情報提供と議論の場を提供し、産学官連携を通して光を用いた新製品の開発への道筋を作ることが必要であると考えている。今年度までの2年間で三重県工業研究所と連携して活動を行い、三重県工業研究所に譲渡したLED配光測定装置の開放装置としての利用に向けた機器整備と利用促進のためのPR活動、あかりの日記念講演会・青少年のための科学の祭典・ジュニアドクター育成塾などの活動による県内企業、学生、小中高生への光や照明技術に関する啓蒙活動、伊賀市内の企業との植物工場に関する共同研究、日本フォトニクス協議会関西支部の行事での研究成果及び地域貢献活動の紹介、三重県と秋田県の光技術に関する広域連携活動などを行ってきた。

本活動では前年度の活動成果を踏まえ、三重大学と三重県との連携の強化を更に図り、 "次世代自動車フォトニクス"で地域の光技術に関する拠点形成を目指すことを目的として三重県と連携して次世代自動車向けの光技術に焦点を当てた地域貢献活動を行う。

2.活動地域と内容

本活動では三重大学大学院工学研究科、三重大学伊賀サテライト、三重県と相互に協力しながら、主に次の4つの活動を中心に行う。

<次世代自動車フォトニクスに関する研究会立ち上げに向けた調査活動>

次世代自動車フォトニクスに関する研究会を立ち上げるべく、県内企業の開発動向や光技術による産学連携が進んでいる関西地区のモデルケースを調査し、三重県内で光技術による産学連携が可能なあり方を考える。

<光技術・照明技術に関する啓蒙活動>

あかりの日記念講演会(照明学会東海支部主催)、レーザーディスプレイ技術研究会(日本光学会レーザーディスプレイ技術研究会主催)などへの参加促進やジュニアドクター育成塾の実施などを通して光技術や照明技術に関して啓蒙活動を行う。

<秋田県との光技術に関する広域連携交流>

平成29年度より秋田県が取り組んでいる次世代ひかり産業技術研究会に申請者がメンバーとして加わったので、三重大学と秋田県との光技術に関する広域連携交流が図れるような取り組みを行う。

<共同研究の可能性を見出すための活動>

申請者が持っているナノ構造の作製技術とそれを利用した光制御技術やLED照明の測定技術を活用して、量子ドットを用いた発光素子やLEDを用いた植物栽培などに関して三重県内の企業や三重県との共同研究の可能性を模索すると同時に次世代自動車フォトニクスにつながるシーズ作りを行う。

3.期待される活動成果等

本活動を通して、次世代自動車フォトニクスやLED植物工場などで産学官の連携による共同研究等が実施できるようになることを期待している。

また、三重大学と三重県や地域企業が共同して光技術に関して新しいシーズづくりができることも併せて目指したいと考えている。

→2019年度活動状況報告書