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31_東紀州地域における小学校外国語(英語)教育のシステム開発と支援活動(継続2年目)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

新小学校学習指導要領(2017年3月告示)において、中学年(3、4年)に外国語活動、高学年(5、6年)に外国語科が導入された。2018、2019年度の移行期を経て、2020年度より完全実施される。これに伴い、移行期間が開始する2018年度より各学校での英語の授業数が大幅に増加するとともに、内容の一層の充実を図る必要に迫られることになった。2019年度は、完全実施に向けた内を一層とり入れた指導計画が文部科学省より示されている。

各学校においては、学力向上を目指した授業づくりや生活指導、様々な課題を抱えた子どもへの対応等による多忙化が問題になっているのが現状であり、さらに「道徳」の教科化や「英語」の授業数の増加、「プログラミング教育」の実施という課題がある。小学校教員にとっては、英語を教えた経験がなく、英語が苦手という教員も多く、教員の持つ不安感が非常に大きいものとなっている。一方、東紀州の各市町は小規模自治体で財政規模も小さく、教育委員会に在籍する指導主事も1名から2名であり、小学校における英語指導についても具体的方策はほとんど持ち合わせていない。その上、三重県教育委員会において、東紀州地域に多くみられる複式学級における英語の授業について、全く検討されてこなかっただけでなく、今後も検討されない状況である。

2018年度の本活動は、文部科学省より示されている小学校3年・4年、及び5年・6年の年間指導計画を濃縮し、3・4年及び5・6年用の三重大学東紀州サテライト版複式学級用年間指導計画を2019年度版として作成し、各教育委員会を通して配布した。それと併せて、複式学級で効率よく指導できるよう年間約50時間分の指導案を作成し、要望のあった地域や学校で模擬授業等を行ってきた。2018年9月に東紀州地域のほぼすべての学校にアンケート調査に協力をいただき、その主な結果は①東紀州地域の複式学級における「三重大学東紀州サテライト版複式学級用年間指導計画」の利用率は100%である、②指導案の利用率は約50%であることが分かった。

2019年度の本活動の主な計画は、①文部科学省より示されている小学校3年・4年、及び5年・6年の年間指導計画を濃縮し、3・4年及び5・6年用の三重大学東紀州サテライト版複式学級用年間指導計画を2019年度版として作成し(年度ごとに指導内容が違うため、年度ごとに年間指導計画の作成が必要)、複式学級をもつ各学校に提供するとともに、②2018年度に作成した作成した指導案を、2019年2月に実施される教員からの聞き取り調査をもとに改訂し、③指導案があることを知らない学校や地域での模擬授業を実施して、年間指導計画をスムーズに実施することができるようにし、④授業で役立つ教材開発を行い、東紀州における小学校英語教育のシステムを構築し、実施の支援を行っていくことである。

2.活動地域と内容

本事業で予定している活動地域及び内容は次の通りである。

<活動地域>
  • 東紀州地域(紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町)の5市町教育委員会管内の小学校
<活動内容>
  • 年間指導計画の作成と公開
  • 各授業の授業計画の作成と公開
  • 出前授業の実施
  • 市町教育委員会との共催による英語研修会の実施
  • 教材の作成・配布及び配信

3.期待される活動成果等

東紀州地域の各教育委員会が重要課題に挙げている小学校複式学級における英語教育システムを構築することによって、各教育委員会の三重大学への期待に応えることができる。また、「三重大学東紀州サテライト発の複式学級英語授業」として三重県のみならず全国にアピールすることが可能である。また、小学校教員を目指す三重大学教育学部の学生にとって、今後、英語教育及び指導方法を学んでいくことが一層重要となる。本事業はそのことへの対応の重要な一助になる。

→2019年度活動状況報告書