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31_三重県の素材生産に占める高付加価値材(S材)の流通調査と林業への還元

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

現在、国内の木材自給率は上昇傾向にあるが、A材需要は低迷しており、林業は依然として厳しい状況におかれている。このような中、来年度から国民全体で森の恵み(公益的機能)に対する対価を払うシステム、森林環境譲与税が導入され、荒廃森林の整備や、持続的かつ安定的な木材生産を目指していく。

三重県に目を移すと、バイオマス発電所5基に加え、今年度から年間原木消費量10万m³規模の合板工場も稼働し始めた。そのため、B材以下の需要は安定し価格も良好である。ただ、m³単価25,000円を下回るA材は、全国同様、需要も価格も低迷しているが、m³単価25,000円を上回るA材(S材)、特に元玉の3m材や4m材は、需要も価格も比較的安定している。

そこで本事業では、S材の流通調査を行うと共に、長伐期林業の可能性、さらには長伐期への投資回収の可能性を探りつつ、三重県の林業の将来を考えたい。

2.活動地域と内容

三重県林業研究所と協力して、S材を多く取扱っている松阪地区の林家と伊賀地区の製材所を対象に調査を行う。

【林 家】地ごしらえ(植栽準備)、植栽、下刈り、枝打ち、間伐などの作業状況と経費を調査する。また、最適な植栽密度や、現状流通量が少ない元玉の6m材以上の出材アップの可能性を探る。

【製材所】原木から製材への造材・加工費用や、その後の乾燥期間・費用、再製材・接合部加工費用、最終製品価格、原木からの製材歩留りなどを調査する。

3.期待される活動成果等

全国的な上記課題に対し、優良木を有している三重県においてS材流通のモデルプランとして全国に提案でき、国内のトップランナーとして位置づけられるであろう。また、次年度より開講予定の森林総合研究所との連携大学院や、みえ森林・林業アカデミーを通じ、将来的には国内初の「森林学部」設置を目指したい。

図:森林と生活

→2019年度活動状況報告書