clear
31_大内山川に生息する放流アユ比率の時空間変化

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

大内山川は三重県大紀町を流れる宮川最大の支流であり、そこに位置する大内山川漁業協同組合では高品質なアユの生産と多くの遊漁者が快適に楽しめる環境づくりを促進している。その結果2016年度は清流めぐり利き鮎会inぎふで準グランプリを獲得するに至っている。

大内山川漁業協同組合では毎年約3万匹のアユ稚魚を放流しているが、天然由来アユの遡上も見られる。放流アユは一般的に釣られやすく、漁期序盤の漁獲を支えており、天然由来アユは広く漁期全体の漁獲を支えているといわれているが、その割合はわかっていない。

放流アユと天然アユでは側線上方横列鱗数に差がある場合があり、大内山川に生息するアユでもそのような特徴が見つかれば、漁期全体を通してどの程度放流アユが漁獲に寄与しているのかが分かれば、季節ごとの漁獲対象個体の把握を行うことができ、適切な放流数や放流時期を検討することができる。

2018/2/19に大紀町コンベンションセンターにて共同研究成果の報告会を開催し200名を超える地域関係者の方々に成果説明と研究意義をお話しできた。一方で課題も残っており場所別季節別の変動が検出できなかった。そこで本年は放流アユ比率の時空間変化の検討を行う。

2.活動地域と内容

大紀町大内山川における、稚魚種苗サンプル採捕と天然遡上アユサンプルを採取し、側線上方横列鱗数を計数する。

その後5月から9月まで毎月原則一回大内山川内3か所で釣獲サンプリングによりアユを採捕し、上記の形態的特徴を比較して、漁獲物内の放流アユ比率と体長組成を記録する。

また、これとは別に遊漁者の入漁数情報を大内山川漁業協同組合より得て、必要とされているアユの数と放流アユの残存数の関係を検討する。

3.期待される活動成果等

大内山川における適切な放流数と、放流時期を提案し、より効率的なアユ資源の利用を促進できる。

→2019年度活動状況報告書