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30_三重県におけるアートマネージメント養成プログラムの開発(継続2年目)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

【背景】

本学は,2014年度から2016年度まで文化庁の「大学を活用した文化芸術推進事業」の採択を受け,「地域の舞台芸術振興のための特色あるアートマネージメント人材育成~<生きる力>を育むためのアートカリキュラム~」を開講してきた。この3年間,本学でアートマネージメント人材育成のためのレクチャー講座と実践講座を開講し,学内および地域住民延べ480名の参加者が受講し,アートと地域をつなぐ「アートマネージメント」の役割の重要性について認知度を高め,啓蒙活動を行ってきた。三重県は「新しいみえの文化振興方針」において文化振興に関わる人材の育成として「アートマネージメント人材育成」を掲げており,2017年度は三重県文化会館との共催という形で,規模を縮小して「アートマネージメント講座」を本学で開講した。アートと地域(社会)を媒介する「アートマネージメント」は,具体的には芸術が教育や福祉の現場と繋がって共に活動・発展できるような文化振興の人材育成を目指すものである。三重県は2020年東京オリンピック・パラリンピック以降のレガシーとして芸術文化の振興の推進が課題であることを示している。それ故,本学では協定を結んだ三重県文化会館と協力をして,引き続き「アートマネージメント人材育成」のプログラム開発を進める必要がある。

【必要性】

三重県は文化振興に関わる若い人材育成を目的としており,アートと地域(社会)とを結ぶ役割の「アートマネージメント」の考え方を身につけた人材が三重の地で生まれてくることは,三重県の文化度を高め,三重県の地域振興に繋がることも予想される。2020以降の三重県の芸術文化の発展のためにも豊かな人材育成を行うプログラム開発が求められる。

【目的】

三重県での「アートマネージメント人材育成」は,県の文化振興の目的のひとつでもあり,今年度も本学と三重県文化会館との共催による活動と多角的な視点からのプログラム開発を行っていく。本活動を通して,大学という場が学際的な場だけであるのみならず,文化的・創造的な場でもあることを発信しながら,新たなプログラムの創出を目論見とする。

2.活動する地域と内容

三重県の市町村の公共ホールに声をかけて,「アートマネージメント人材育成」のレクチャー講座を三重県文化会館との共催で本学において行う。また,三重県からの要請で平成30年度は文化振興の目的と方法を考えるため,平田オリザ氏を招いて講演会を行うことが決定している。その他,「アートマネージメント」の技術・実践講座は,三重県文化会館および市町村の公共ホールで行う予定である。

3.期待される活動成果等

「アートマネージメント」の考え方は,必ずしもアートの現場だけでなく,教育や社会福祉の現場でも必要とされる考え方である。それというのも,異なる者たちの価値観が交わる場でのマネージメント力というのは,成熟した社会を実現するためにも必要不可欠な能力であるからである。それは,ローカルなボランティア活動から公共の場,そして,国際交流の場まで広く対応する能力でもある。

 理想としては,本プログラム開発からアートの現場へ人材輩出できることが望ましいが,それに限定せず,それぞれの現場で「アートマネージメント」の考え方を取り入れることで,一人ひとりがより成熟した社会形成を担うことが期待される。

平成30年度活動状況報告書