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30_東紀州地域における小学校外国語(英語)教育のシステム開発と支援活動

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

新小学校学習指導要領(2017年3月告示)において,中学年(3,4年)に外国語活動,高学年(5,6年)に外国語科が導入された。2018,2019年度の移行期を経て,2020年度より完全実施される。これに伴い,移行期間が開始する2018年度より各学校での英語の授業数が大幅に増加するとともに,内容の一層の充実を図る必要に迫られることになった。文部科学省の専用サイトには,昨年末より順次,児童用冊子や教師用指導書,デジタル教材・ワークシート等がアップロードされている。

各学校においては,学力向上を目指した授業づくりや生活指導,様々な課題を抱えた子どもへの対応等による多忙化が問題になっているのが現状であり,さらに「道徳」の教科化や「英語」の授業数の増加という課題が出てきた。小学校教員にとっては,英語を教えた経験がなく,英語が苦手という教員も多く,教員の持つ不安感が非常に大きいものとなっている。一方,東紀州の各市町は小規模自治体で財政規模も小さく,教育委員会に在籍する指導主事も1名から2名であり,来年度からの小学校における英語指導についても具体的方策は持ち合わせていない。その上,東紀州地域に多くみられる複式学級について,どのように英語の授業を行うのかという検討は,三重県教育委員会においても全くされていない状況である。

そこで本活動では,文部科学省より示されている小学校3年・4年,及び5年・6年の年間指導計画を濃縮し,3・4年及び5・6年用の三重大学東紀州サテライト版複式学級用年間指導計画を作成し,複式学級をもつ各学校に提供するとともに,各授業の指導案も作成し,年間指導計画をスムーズに実施することができるようにする。また,授業で役立つ教材開発を行い,東紀州における小学校英語教育のシステムを構築し,実施の支援を行っていくことを目的とする。

2.活動する地域と内容

本事業で予定している活動地域及び内容は次の通りである。
<活動地域>

  • 東紀州地域(紀北町,尾鷲市,熊野市,御浜町,紀宝町)の5市町教育委員会管内の小学校

<活動内容>

  • 年間指導計画の作成と公開
  • 各授業の授業計画の作成と公開
  • 出前授業の実施
  • 市町教育委員会との共催による英語研修会の実施
  • モデル授業の動画のweb上での公開
  • デジタル教材の作成・配信

3.期待される活動成果等

東紀州地域の各教育委員会が重要課題に挙げている小学校複式学級における英語教育システムを構築することによって,各教育委員会の三重大学への期待に応えることができる。
また,「三重大学東紀州サテライト発の複式学級英語授業」として三重県のみならず全国にアピールすることが可能である。また,小学校教員を目指す三重大学教育学部の学生にとって,今後,英語教育及び指導方法を学んでいくことが一層重要となる。本事業はそのことへの対応の重要な一助になる。

平成30年度活動状況報告書