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29_鈴鹿市における学校・教育委員会・大学が連携した不登校対策の推進(継続2年目)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

<本活動の背景>

「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(文部科学省)によると小・中学校の不登校児童生徒数は平成25年度に6年ぶりに増加するなど、依然として憂慮すべき状況といえる。具体約には、国・公・私立の小・中学校で平成25年度に不登校を理由として30日以上欠席した児童生徒数は、小学生は24,175人、中学生は95,442人の合計119,617人となっている。これを全体の児童生徒数との割合で見ると、小学生は0.36%、中学生は2.69%となっており、小・中学生の合計では全児童生徒の約1.2%を占めている。「不登校に関する調査研究協力者会議」は「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」の中で多様な課題に対応した組織的な支援の推進を掲げており、学校現場での早急な対応がのぞまれる。

<本活動の必要性>

鈴鹿市では平成27年度からを計画期間とする「第3次子どもの健全育成推進基本計画」の中に、「不登校児童生徒支援の充実」を挙げており、本活動の必要性や市民の関心は高いといえる。また鈴鹿市内中学校における平成27年度不登校生徒の割合は全国平均と比較すると非常に高い数値を示しており、不登校対策は取り組むべき喫緊の課題であるといえよう。

本活動では市内の小中学校を対象に、インタビュー調査およびアンケート調査を行うことを計画し、平成28年度ではインタビュー調査および市内中学校の不登校対策担当者対象の研修会を開催した。各学校でこれまで取り組んできた対応や課題を市内全小中学校で共有することで一定の成果をおさめたといえる。今後さらに調査をもとに、鈴鹿市の不登校対策の課題を明らかにし、課題に応じた不登校対策を検討することで、実効力の高い提案を行うことができると考えている。学校、教育委員会、大学が連携しながら児童生徒のよりよい成長のための環境づくりに資するという点においても本活動の必要性は高い。

<本研究の目的>

鈴鹿市内小中学校における不登校対策の現状と課題を調査から明らかにし、調査結果をもとに、学校、教育委員会、大学が連携しながら効果的な不登校対策について提案することである。

2.活動内容

近年、学校全体での組織的支援や適応指導教室の積極的活用の重要性が言われていることから、適応指導教室との連携、学校の組織的支援体制、担任としての支援の3点について調査を行う。また各中学校の不登校対策担当者ミーティングを開催し、研修会を行う。

調査1(インタビュー調査):不登校については個々の事例によって効果的な支援のありかたも異なっているために、不登校の事例を原因や症状別に抽出し、鈴鹿市内の小中学校において不登校対策を主に担っている教員(教育相談担当教員、養護教諭、適応指導教室担当者など)に不登校支援の現状および適応指導教室と学校との連携についてインタビュー調査を行う。(平成28年度実施済み)

調査2(アンケート調査):鈴鹿市内の小中学校において不登校対策を主に担っている教員を対象に、不登校の組織的支援の現状及び課題に関するアンケート調査を行う。(インタビュー調査として平成28年度実施済み)

調査3(アンケート調査):鈴鹿市内の小中学校において全教員対象に、教員が感じている不登校対策の課題や困難さについてアンケート調査を行う。(平成29年度実施予定

パンフレット作成:これらの数量的調査および質的調査をもとに、鈴鹿市の学校の現状をふまえた効果的な不登校対策についてパンフレットを作成し、学校現場に配布し、校内研修の際の資料として活用してもらう。(平成29年度実施予定

不登校対策担当者ミーティング:鈴鹿市内中学校における不登校対策担当者ミーティングを開催し、研修会を行うことによって教員の専門性向上をはかる。(平成28年度に4回実施済み。平成29年度にあらたに4回実施予定)

3.期待される活動成果等 

実際に学校現場で支援を担っている教師を対象とした調査を行うことで、市内小中学校全体での現状と課題の共有が可能になるといえる。データに即し、実態をふまえた実効力のある対応策を提案できると考えられる。作成した報告書および効果的な不登校対策のパンフレットの内容を、教員研修や各学校での事例検討会で活用するように促すことによって、研修の充実が図られると考える。また不登校対策担当者ミーティングを開催し、研修を行うことによって、各学校でコーディネーター的役割を果たす教員の専門性向上を促すことができる。

平成29年度活動状況報告書