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29_三重県におけるアートマネージメント養成プログラムの開発

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

【背景】本学は、2014年度から2016年度まで文化庁の「大学を活用した文化芸術推進事業」の採択を受け、「地域の舞台芸術振興のための特色あるアートマネージメント人材育成~<生きる力>を育むためのアートカリキュラム~」を開講してきた。この3年間、本学でアートマネージメント人材育成のためのレクチャー講座と実践講座を開講し、学内および地域住民の方々延べ480名の方々に受講してもらい、アートと地域をつなぐ「アートマネージメント」の役割の重要性について認知度を高め、啓蒙活動を行ってきた。文化庁の審査結果を見ると、全国の大学の中でも本学のプログラム実施への評価が高く、課題としては「県全域へ人材育成効果が波及するプログラムの実施に努めること」が呈示されている。

【必要性】3年間の「アートマネージメント」講座の実施を経て、多くの地域住民が関心を寄せ、受講に繋がったことからもわかるように、引き続き、本学で講座開講を求める地域住民の期待も高い。アートと地域(社会)とを結ぶ役割の「アートマネージメント」の考え方を身につけた人材が三重の地で生まれてくることは、三重県の文化度を高めるひとつのきっかけになることが予想される。以上を踏まえて、これまでの3年間の実績と、そこから明らかになった「県全域への人材育成効果の波及」という課題を受け、その課題を解決するようなプログラム開発を行う予定である。

【目的】三重での「アートマネージメント」の人材育成は、県の文化振興の目的のひとつでもあり、今年度も本学と三重県文化会館との共催による活動と多角的な視点からのプログラム開発を行っていく。本活動を通して、大学という場が学際的な場だけであるのみならず、文化的・創造的な場でもあることを発信しながら、新たなプログラムの創出を目論見とする。

2.活動内容

これまで3年間、本学で実施して好評だった「アートマネージメント」のレクチャー講座を規模は縮小されるが、引き続き、三重県文化会館との共催で本学において公開講座を行う。また、来年度以降の文化庁の助成に応募するために、三重の地域性に根ざしつつ、県全域へと波及する「アートマネージメント」のプログラム開発を、随時、有識者たちからの意見も参考にしながら研究を行っていく。

3.期待される活動成果等

  「アートマネージメント」の考え方は、必ずしもアートの現場だけでなく、教育や社会福祉の現場でも必要とされる考え方である。それというのも、異なる者たちの価値観が交わる場でのマネージメント力というのは、成熟した社会文化を実現するためにも必要不可欠な能力であるからである。それは、ローカルなボランティア活動から公共の場、そして、国際交流の場まで広く対応する能力でもある。

 理想としては、本講座の受講者からアートの現場へ人材輩出してくれることが望ましいが、それだけでなく、それぞれの現場で「アートマネージメント」の考え方を取り入れることで、一人ひとりがより成熟した社会形成を担うことに期待される。

平成29年度活動状況報告書