当日「伊賀日本語の会」日本語教室のボランティア・外国人の親睦事業「バーベキュー大会」が当地で行なわれ、そこに参加した外国人(80人)の中から8人の方に集まってもらいリラックスした雰囲気で話を聞くことができました。以下は主なやりとりです。(文章は要約・母語での発言は日本語に通訳)
プロジェクトメンバー参加者は9名(プロジェクトメンバーの発言はPで表示)
外国人参加者(略称)
T(ブラジル・30代男性)
S(ブラジル・20代男性)
L(台湾・20代女性)
X(中国・30代男性)
Y(中国・20代女性)
A(ペルー・30代女性)
O(ペルー・40代男性)
C(ガーナ・20代男性)
●ビザ申請(入国管理局)について
X:
入管ヘビザ申請して1週間してもう一度行かなければならない。私と妻は日が違うから四日市まで行くのに、4日間仕事を休まなけれぱなりません。
O:
申請時、私たちペルー人に対する扱いがとても悪い。大量の書類を懸命に揃えて作っていっても書類をほとんど見ないで突き返す。犯罪人扱いです。私は怒っています。
P:
それはその人の問題ですか、それとも職場全体?
O:
両方です。
X;
中国人の場合も保証人が必要で書類も難しい。日本人のはんこがあれば大丈夫なのですが。一方でアメリカ人、イギリス人などはもっと簡単です。
L:
(日本人と結婚していますが)1年間のビザは取れます。でも1年ごとに申請が必要です。
S:
ブラジル人に対しても態度はかなり悪い。
C:
ビザの事務所の人が皆悪いわけではない。
P:
国によって態度を変えてるわけではないと思うけれど、役所の体質の問題もある。同じ法務省でも登記所が最近大変良くなった。
X:
上野市役所はいい。
●警察署・運転免許など
P:
最近盗難にあったブラジルの人と警察へ行ったけれど、すごく悪い。たまたま犯人も外国人だったので、調書にこちらの言っていないことまで書かれていた。ブラジル人だけならわからない。
O:
免許証の切り替えには、通訳ができなくてもいいからとにかく日本人を連れていく必要がある。ペルーの免許証ははなから偽造だと思われている。外国から来て日本の免許に切り替えるときが大変。
●人種偏見
C:
黒人ということで後ろに隠れる人もいる。黒人はアメリカだけにいるわけではないのにわかってくれない。さっきも若いカップルが『あ、黒人だ』と言っていたが、もっと気楽に話しかけてほしい。国のことも話したい。だから私はこのように今日も民族衣装を着ています。
P:
確かに、三重県では慣れていないということもある。上野にも黒人の人が増えてきている。いつも見かけるようになると違和感もなくなってくると思うのですが。
O:
アメリカ人でもきれいな人、そうでない人、良い人悪い人、プレイボーイ、いろいろいると思います。日本人はなぜアメリカ人は皆良くって、ラテンアメリカ人だと恐いと感じるのでしょう。
P:
南米の子どもたちにとっては、肌の色などどうでもよいこと。差別などない。子どもたちに教えられた。
O:
エレベーターに乗り合わせたとき、子どもたちは何の偏見も持っていない、でも大人は持っている、と感じた。私は民族音楽を聴いてもらうことで、人問は皆同じだということを分かってもらおうと思っています。
P:
英語教師が黒人だった。子どもが全然気にしていないのに親が恐がっている。親や祖父母の世代は黒人の人にあったことがほとんどないことも原因かも知れない。
●職場、年金、保険など
P:
職場の日本人はどうですか?
T:
職場に日本人は少ない、ほとんどブラジル人ばかり。
P:
子どもができたり、病気で休みがちな外国人は、会社から辞めてくださいと言われることが多い、と子ともの保護者から聞きますね。
X:
私は(直接雇用で)社会保険に入っています。従って保険と年金は掛けてますが年金はもらえないでしょう。毎月ほかしているみたいなものです。
P:
一部外国人の掛けてくれた年金を日本人がもらっているのかも。
X:
仕事がなくなったらそれもできません。強制送還です。誰か仕事を持っていないと家族全員帰されます。
P:
その点は日系人は有利ですね。
O:
日本で8年間働いています。会社は変えていないのに、私だけボーナス、手当て何もない。まず保険に入れてくれない。日本国籍を取ったら直接雇用にしてあげると言われています。
●医療の問題
P:
ブラジル人の子どもは保険に入っていない子が多く、けんかでけがした時、治療費は多額になる歯の治療でも保険が効かなかった親もいる。事情を知って、まけとくわ、という医者もいる。今、医療支援の動きが広がってきているのもそういう背景がある。
T:
同じブラジル人で医者への同伴(通訳)を頼まれることは少ない。皆休みたいげど、辞めさせられるので限界になるまで薬で我慢している人が多いのです。それでよけい悪くなる。
〔以下要約〕
・外国人に理解のある医師、病院の情報ネットワークが必要。
・外国語の話せる薬剤師、医師、また必要なときボランティアで通訳できる人などの情報を知らせる。
・薬局、病院などに各国語の説明書き、問答集など作っておくことができればいい。
●・子どもの教育、学校、家庭
P:
休みが取れないという話があったが、学校からの成績渡しなど大事な用件の時にも来れない親が多い。子どもの良い教育は保障されないことになる。
T:
ブラジルの子ともたちで中学校へ行っていない子が多い。親の代わりに子守している子もいるが、行ってもいじめにあったりとかする。非行に走らないか心配。
S:
学校の方も受け入れ体制ができていないと、子どもは行きたくない。無理矢理行って座ってることは(ブラジル人の子にとって)苦痛です。
P:
(行ってる子でも)中学校3年になると嫌になる子が増えると聞いている。日本の子が受験のため遊ぶ友だちがいない。
O:
私の子どもはペルーでは勉強が進み算数の計算もよくできていたのに、日本の小学校に来て全部忘れてしまった。日本では勉強しなくても上に上がれるから。ペルーでは飛び級してたのに。
P:
意識を変えないといけないということですか。南米の親で、子どもが勉強しないから落第させてくれ、と学校に頼む人も多くいます。
〔以下要約〕
・外国人の多い市町村だと学校の受け入れ体制ができていない(日本の子どもの問題で手一杯)。取り出し授業はつまらん、という子も多い。
・外国人の子の少ない市町村の方が1人1人手がまわって取り出し学級などもうまくいっている。
・外国人担当講師が年配者だとまずダメ。イエス、ノーをはっきりいわないと、日本人独特の柔和な態度がかえって外国人の子どもにはマイナス。外国人やその習慣を理解し、できれば子どもの言葉のできる教師が一番いい。
・今の臨時教師雇用(3年)の考え方は雇用対策で場当たり的で長期的視野になっていない。
・日本語教育への理解が学校の中でも少ない。外国人担当は現場では臨時教員の仕事になっていて、意欲的にやろうとする教師がいてもやらせてもらえない。
●日本での生活習慣など
P:
外国人に対して商売が成り立つかどうか知りたい。どういう店によく行きますか?
T:
ジャスコとか結構行きます。外国人コーナーとがあって調味料など置いてあります。
P:
日本へ来る前のイメージと日本へ来た後のイメージは変わりましたか?
X:
東京とか大阪のことは聞いてましたが、ここへ来でこんな田舎もあるんだなと…。
L:
台湾では家の庭に木とか花は少ないけど、日本では庭に木を植えています。
C:
いろいろ違ってたけど、慣れるしかないと思っています。
O:
自分の国の習慣とはずいぶん違ったけど、慣れてしまいました。
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