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紀北町島勝浦の磯焼け海域における藻場再生活動の普及

 近年,磯焼けと呼ばれる藻場の衰退減少が日本全域で報告されています。三重県においても,特に熊野灘沿岸で磯焼けが多数確認され,大きな問題となっています。磯焼けは海の砂漠化とも言われており,磯焼け海域では生物多様性が失われ漁獲量も激減します。そのため,漁業従事者などからかつての沿岸環境,藻場を再生させたいという要望が高まっています。藻場の再生を成功させるには研究機関や行政だけでなく,沿岸域住民の方々の藻場に関する知識の普及と継続的な協力が非常に重要です。しかし,沿岸の漁業従事者でも藻場の消失の実体を把握しきれていないことがあります。
 本活動は,「海っ子の森(http://www.umikko.jp/index.php)」および「海守り(http://www.za.ztv.ne.jp/umimori/)」の二つの団体と共同で,藻場再生の普及活動を行うことにより,地域に貢献しようとするものです。この二つの団体は,すでに鳥羽市や紀北町において藻場再生活動を行ってきた実績があります。そこに,三重大学生物資源研究科藻類学研究室として,これまで培ってきた藻場に関する知識・技術面での協力をします。さらに,海洋調査や海洋生物に興味のある学生ボランティアも募り,紀北町島勝浦において磯焼けや藻場再生活動についての知識の普及活動を行います。これまでに,学生ボランティアとともに島勝浦の海洋生物や地形の調査を行ったほか,地域の小学生への海中観察指導に協力しました。これらの活動は地域住民の方々に海洋生物や沿岸環境への関心を持ってもらうことを目的としています。将来的には,地域による沿岸域の生物多様性やその維持管理へと繋がることが期待されます。