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30_「伊勢河崎商人館」における展示計画を通じた景観まちづくり活動の推進(継続3年目)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

伊勢市河崎地区は,伊勢神宮のおかげ参りの参拝客に物資を供給する問屋街として勢田川沿いに発展してきた水運のまちです。戦後は徐々に衰退し,昭和49(1974)年の七夕豪雨後の河川改修によって町並みの一部を失いましたが,その後,河崎地区の歴史・文化が再評価され,歴史的景観を活かしたまちづくりが推進されています。

河崎地区のまちづくり拠点が,伝統的町屋を利用して「公設民営」によって運営されている「伊勢河崎商人館」(以下,商人館)であり,この施設の所有者は伊勢市,指定管理者は「NPO法人伊勢河崎まちづくり衆」(以下,まちづくり衆)です。

申請者は,以前から伊勢市からの依頼で都市計画に専門家として関わっており,その関係で商人館の開館にも関わり,平成14年の開館時には,浅野研究室の院生とともに「河崎まちづくり舞台」と名づけたまちづくりの解説パネルと商人館の建築模型を作成し,河崎区の歴史,景観,まちづくりの特徴を解説する展示に協力をしてきました。

この展示から10数年が経過して内容が古くなっているとともに,現在,河崎地区が伊勢市景観計画にもとづく重点地区の候補となっていることから,地区指定に向けて,今後の景観まちづくりの一層の発展を支援する新たな展示計画の必要性が生じています。

以上の背景と必要性を踏まえて,平成28年度から平成30年度にかけての3年間をプロジェクト期間として,商人館における新しい展示計画を立案しました。(図1)平成28年度~29年度において本支援助成に採択して頂いたおかげで,この2年間は計画通りに展示作品を制作することが出来,現在,商人館にて常設展示されています。

平成28年度は,七夕豪雨が発生した昭和49年以前の歴史的町並みを体現する「町並み再現模型」と「模型解説パネル(A1サイズ3枚)」を,平成29年度は,主に昭和(戦後)時代から現在に至る河崎地区のまちづくりの変遷を解説する「町並みパネル:第一幕・第二幕(A0サイズ1枚・A1サイズ7枚)」を制作し,シンポジウム(蔵くら談義:2018年3月18日に商人館にて開催。本シンポジウムは,本学の「伊勢志摩サテライト」の後援(名義申請をして承諾済み)として位置づけています。)にて公表しました。

平成30年度は,この2年間の成果の延長上に,河崎地区のまちづくりの将来像を描く「町並みパネル:第三幕」と展示作品の全体を解説する「町並みリーフレット」を制作し,3年間の一連の展示計画を完成させることを目的としています。

2.活動する地域と内容

活動する地域は伊勢市河崎地区であり,活動内容は以下の通りです。

第一に,必要があれば平成29年度に制作した町並みパネルを修正して完成させます。

第二に,商人館の指定管理者であるまちづくり衆と共同して,まちづくり衆によるまちづくり活動(河崎商人市・伊勢のだいどこ市・空家の保存活用事業等)の今後の在り方について検討し,河崎地区の活性化を展望する町並みパネルを制作します。

第三に,伊勢市及びまちづくり衆と共同して,伊勢市景観計画にもとづく重点地区指定に向けて,地域合意や理解の促進を支援するために,景観法の解説,全国の景観計画の先進事例,河崎地区の景観計画案等を解説する町並みパネル群を制作し,平成28年度,29年度の展示作品とともに一体的に展示をします。

第四に,これらの一連の展示作品の全体を解説するリーフレットを制作して,展示作品の全体像が入館者に理解できるように努めます。

第五に,商人館の案内ガイド(まちづくり衆)等が中心となり,これらの展示作品を活用して入館者や地元関係者の共感を得るように努め,河崎地区のまちづくりへの支援者やリピーターを増やす活動を推進します。またシンポジウム(新・蔵くら談義)等を開催した際には,まちづくりの将来像を検討する資料として活用します。

3.期待される活動成果等

期待される活動成果は,以下の通りです。

第一に,商人館の入館者に対する河崎地区の歴史・文化・景観へのガイダンス効果(理解や支援の推進)が向上すると思われます。

第二に,地元関係者によるまちづくり検討会やワークショップ,シンポジウム等の際に,公開の場でまちづくりを検討する資料として有用に活用されると思われます。

第三に,景観法を活用したまちづくりへの効果,景観計画による河崎地区の活性化や居住環境の改善に関する地元関係者の理解の促進に寄与すると思われます。

第四に,以上の活動成果を通じて,来年度以降に予定されている重点地区指定の際の地域合意の後押しが期待されます。

展示物写真

→平成30年度活動状況報告書