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28_三重県のセルロースナノファイバー(CMF)事業の活性化支援

【活動の概要】

1.本活動の背景、必要性、目的
 【背景】
 2015年6月30日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015に「セルロースナノファイバー(CNF)の国際標準化に向けた研究開発を進めつつマテリアル利用への取組を推進する」と明記された。平成28年度の木材等バイオマス資源利用に関する政府予算は,エタノールからセルロースナノファイバーへと完全にシフトしている。CNFに関する基盤的大型研究は,東京大学・磯貝教授,京都大学・矢野教授のもと進められている一方,政府は全国でCNF事業を活性化するために,地方拠点の構築を求めている。   平成27年度環境省は,CNFに関して「実現性の高い地域モデル事業の提案,及び事業性,CO2削減量の評価等を実施する委託事業者の公募」を行い,公益財団法人三重県産業支援センターと三重県工業研究所の申請が見事に採択された。(https://www.env.go.jp/press/101132-print.html)。採択は3件で,他は森林活用先進県の岡山県,積極的にCNF事業を推進するトクラス株式会社のある静岡県である。三重県は,静岡県,岡山県に並び,政府よりCNF事業のモデル地域として大変期待されており,昨年「みえセルロースナノファイバー協議会」が立ち上がっている。

【必要性】
 しかし,全国各県でCNFに関する取り組みが進められており,平成28年度以降,三重県が現在のポジションを維持し,CNFモデル地域に選定されるためには,三重県の産官学総力を結集したアピールが不可欠である。三重県は,四日市地域を中心に大規模化学産業を抱える優位性がある一方,県内に大学が少なく,事業を支える「学」にウィークポイントがある。県内唯一の総合大学である三重大学は,より積極的に関与し,地域貢献を果たすことが必要である。

【目的】
 三重大学内で森林,林業に関する研究,教育を行っているのは,生物資源学研究科・資源循環学専攻・森林資源環境学講座である。そのなかで,紙・パルプ,CNFを扱う林産化学分野は,わずかに申請者(准教授・野中)1人である。申請者はCNF研究を独自に推進しており,学会発表,講演,多数の研究予算申請を行っているが,予算等の都合上,三重県の地域CNF事業を支援するという観点での活動はほとんどできずにいる。そこで,本三重大学地域貢献事業支援助成を活用して,三重県のCNF事業の活性化に貢献することを目的とする。

2.活動内容
⑴.「みえセルロースナノファイバー協議会」を主宰する三重県工業研究所と協同して,三重県・三重大学のCNF事業をアピールするために,産業展やナノセルロースフォーラム等での講演・展示活動等を活発化する。
⑵.申請者が有する木材,パルプ,セルロースに関する知識, CNFに関する実験技法,分析技術等を,三重県工業研究所,および,CNFに興味を有する県内の事業者に提供,教育するとともに,技術相談窓口になる。
⑶.三重県工業研究所,三重大学間で,随時ミーティングを開催し,三重県が有するCNF研究技術シーズについて密に意見交換する。両機関が有する分析機器,実験技術に関する情報を共有し,CNF研究の互助体制を確立するとともに,県内希望者が利用できるCNF技術・分析ネットワークへと発展させる。

3.期待される活動成果等
―講演・展示活動を通じた三重県・三重大学CNF事業の政府へのアピール。
―知識技術等提供,コンサルティングによる三重県内事業者に対する地域貢献。
―三重県内事業者からのCNF関連シーズの発掘。
―三重県内のCNF事業ネットワークの構築。

平成28年度活動状況報告書