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28_「伊勢河崎商人館」における展示計画を通じた景観まちづくり活動の推進

【活動の概要】

1.本活動の背景、必要性、目的
  伊勢市河崎地区は、かつては伊勢の台所とよばれ、伊勢神宮のおかげ参りの参拝客に物資を供給する問屋街として勢田川沿いに発展してきた水運のまちです。戦後は徐々に衰退し、1974年の七夕豪雨後の河川改修によって町並みの一部を失いましたが、その後、固有の歴史・文化が再評価され、歴史的景観を活かしたまちづくりが推進されています。   河崎地区のまちづくり拠点となっているのが、伝統的町屋を利用して「公設民営」(所有者は伊勢市、指定管理者は地域のまちづくり団体の「NPO法人伊勢河崎まちづくり衆」(以下、まちづくり衆))によって運営されている「伊勢河崎商人館」です。   申請者は、以前から伊勢市の都市計画に専門家として関わっており、商人館の開館にも関わっていたことから、2002年の開館時には、浅野研究室の院生らとともに「河崎まちづくり舞台」と名づけたまちづくりのパネル群と商人館の建築模型を作成して寄付し、河崎地区の歴史・文化・景観を解説する展示に協力をしてきました。   この展示から10数年が経過して内容が古くなっているとともに、現在、河崎地区が伊勢市景観計画にもとづく重点地区の候補となっていることから、地区指定に向けて、今後の景観まちづくりの一層の発展を支援する新たな展示計画の必要性が生じました。   以上を踏まえた上で、本活動は、河崎地区の景観まちづくりの活性化のために、伊勢河崎商人館で展示しているパネル群と建築模型をリニューアルして活用することを目的としています。

2.活動内容
  第一に、商人館の指定管理者であるまちづくり衆と共同して協議し、現行のパネル群と建築模型の展示のあり方について評価し、成果と課題をまとめます。   第二に、伊勢市景観計画にもとづく重点地区指定を受けることを念頭におき、河崎地区の景観まちづくり活動に貢献するための新しいパネル群と建築模型のテーマと内容を検討します。全国の景観計画の先進事例、伊勢河崎地区の景観計画案、河崎地区の景観の特徴、建築物の修景の考え方等を解説したパネル群や河崎地区のジオラマ模型の作成が考えられます。   第三に、以上の検討結果を踏まえて浅野研究室が中心となって、パネル群とジオラマ模型の作成を行うとともに、まちづくり衆の協力を得て現地に運んで展示します。   第四に、商人館の案内ガイド(まちづくり衆)が中心となって、これらの展示を入館者に対して解説し、河崎地区の歴史・文化・景観に対する興味や理解を深めて、支援者やリピーターを増やす活動を推進します。また地元のまちづくり検討会やまちづくり衆によるワークショップ、シンポジウム(蔵くら談義)の際に、将来のまちづくりを検討する資料としても活用します。

3.期待される活動成果等
  第一に、商人館の入館者に対する河崎地区の歴史・文化・景観へのガイダンス効果(理解や支援の推進)が生まれると思われます。  第二に、地元のまちづくり検討会やまちづくり衆による検討会議やワークショップ、シンポジウム等の際に、公開の場でまちづくりを検討する資料として活用されると思われます。  第三に、以上の活動成果を通じて、今後の重点地区指定の際の地元合意(意思決定)への後押しが期待されます。

平成28年度活動状況報告書