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28_人文学部留学生による「一日高校生」活動

【活動の概要】

1.本活動の背景、必要性、目的
 伊賀地区では、ブラジルやペルーなどからの外国籍住民が人口の約5%の割合で居住しているが、その子弟の中で公立高校に通学している者はきわめて少数である。人口比で約3%の外国籍住民を擁する四日市・鈴鹿地区においても事情は同じであり、同地区の公立高校生徒の多くは、ALTによる授業を除けば、日常生活や学校生活の中で異文化に直接的に接触する機会に恵まれていない。いずれの地区の公立高校側でも、生徒の国際感覚を涵養し、グローバル人材を養成するために、もっと頻繁に異文化や異言語に接する機会を提供したいと希望している。
 他方、人文学部に在籍する留学生の三分の二は協定校からの交換留学生であり、留学生寮に居住しているために、学外の社会事情一般を知る機会は多くない。一昨年度、試みに、上野高校及び伊賀白鳳高校と協力して、1〜2時間だけの異文化交流活動を行ったが、参加した留学生からは、日本の高校生活をもっとよく体験し、生徒との交流も深めたいという希望が出された。
 そこで、昨年度、「一日高校生」という企画を立て、7月と12月に上野高校で実施した。企画の目的は、(1)留学生が登校時から下校時までの高校生活を実体験することで、教育方法や教育制度などを含む日本社会についての知見を広げる機会を与えること、(2)地域の高校生にさまざまな国の文化や言語を体験する機会を与えること、(3)青少年間の人的・文化的交流を促進すること、であった。ホームルームやクラブ活動、昼食時などには自発的な交流が行われ、同企画は高校生・留学生の双方から好評であった。
 今年度は、昨年度の成果を踏まえて、「一日高校生」活動を継続する。実施高校は、上野高校に加えて、SGHに選定されている四日市高校にも拡大し、県内の複数地区の高校生に対して、留学生との交流機会を提供したい。

2.活動内容
 上野高校1年生7クラスと四日市高校1年生9クラスに、最低1名の留学生が「一日高校生」として「編入」し、高校生と同じ授業を受け、放課後のクラブ活動にも参加する。ロングホームルーム等の時間を活用して、留学生が母国の文化や言語などを紹介する。

3.期待される研究成果等
 高校生と留学生が同じスケジュールで一日を過ごすことにより、人的・文化的な交流が深まるのは言うまでもない。高校生が留学生の反応を見たり、あるいは留学生の意見を聞くことなどにより、日本とは異なる外国の教育制度や教育方法、学習環境に気づき、あるいは自らを顧みて日本の高校教育や文化・習慣などの特徴に気づいて、視野を広げる可能性は大きい。留学生についても同じことが言え、高校体験は日本理解の一助になる。

平成28年度活動状況報告書