AANEAとは

 AANEA(アーニヤ)とは、東アジアの7ケ国・地域(日本・韓国・中国・台湾・香港・モンゴル・極東ロシア)の17団体の環境NGOによって組織された、東アジア唯一の環境問題に関する民間レベルでのネットワークで、1995年8月に韓団のソウルで設立された。日本からは、市民フォーラム2001をはじめ、地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)、全国公害患者と家族の会、市民による大気汚染測定ネットワ-ク、酸性雨調査研究会、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の6団体が加盟しており、事務局は韓国の「環境正義市民連帯(CMEJ)」が現在担当している。



何故東アジアが重要なのか?

 東アジアは、近年の急速な経済発展によって広域の大気汚染や温暖化問題など地球環境問題が最も懸念されている地域である。しかし、現在、東アジア地域には二国間の環境協力協定はあるものの、欧州のような国際環境保全機構が構築されていないため、地球環境問題の空白地域となっている。この地域が最近まで東西イデオロギーの対立地域であったことや、各国の経済水準や社会文化的背景の差が顕著であったために同一な行動を起こすことが不可能であったためであろう。従って、AANEAによって東アジアの環境問題に対する協力体制を作る土台ができたことは、非常に有意義である。

現在の活動

 このネットワークでは、東アジア地域の越境性大気汚染・酸性雨のモニタリングシステムを構築し、情報の交換によって現状の把握や対策の樹立をはかっている。温暖化などの気候変動問題に対しても、その対策に向けて政府・行政に圧力をかけ、東アジアの持続可能な開発に向けた民間の役割をエンパワーしている。現在は大気問題(大気汚染・温暖化問題)のみ対応しているが、今後、水質汚染、ごみ問題なども含む東アジアの環境問題全般や、関連する社会問題への対応まで広がる可能性も高い。


これからの課題

 これまでの5回の会議を重ね、様々な討論の結果、AANEA運営の成功のためには、アジア環境問題に鍵を握っている中国のNGO力量の育成を行い、中国の様々な地域での複数のNGOのAANEAへの加入を図ること、将来的には、北朝鮮のNGOの活動を支援することなどが課題として認識された。

 環境の世紀と言われる21世紀における大気汚染・酸性雨、地球温暖化問題を含む様々な環境問題の最大懸念地域として取り上げられている東アジアの環境問題に効果的に対応するためには、環境問題に対する市民の関心を高め、効果的なロビー活動を行うための行動戦略を練り上げ、政府の政策変更を迫りうるだけの実績と説得力を持つ知的集団としての連携を組むことが必要不可欠となる。このような状況下で参加各団体は、東アジア唯一の環境NGOネットワークであるAANEAが、どういう役割を果たせるかを問われる時期に早くも来ていることを認識し、適切な対応策を生み出す努力をしなければならない。
SYMPOSIUM
THESIS
OUTLINE