2018年08月30日
8月21日(火)~23日(木)の3日間、「地域総活躍社会のための慢性疼痛医療者育成コース」のワークショップを開催しました。これは文部科学省・課題解決型高度医療人材養成プログラムにおける鈴鹿医療科学大学との合同事業であり、昨年度に続き2回目の開催でした。
本学の医学部医学科と看護学科、計20名の学生と、鈴鹿医療科学大学の保健衛生学部鍼灸サイエンス学科、医療栄養学科管理栄養学専攻、理学療法学科、医療福祉学科臨床心理学専攻の計11名、看護学部看護学科4名、薬学部薬学科6名の総計41名が、3日間のプログラムを終えることが出来ました。
1日目は「痛みに対する生活者としてのアプローチを学ぶ」として、各種東洋医学関連と理学の講義のあと、実際の治療体験として鍼やお灸に触れたり、腹診の練習をしたり、漢方薬の試飲をしたりしました。ストレッチ実習では、ペアになりお互いの動きを確認しながら筋肉や体の動きについて学びました。自分の身体感覚を通じて得た体験は、後々まで印象に残るものだと思います。
![]() 人形を使っての腹診の体験 |
![]() ストレッチの実習 |
2日目は、医療から少し離れて、"チーム"について考える体験プログラムを受けました。グループに分かれて、チーム内の役割やチームワークに必要なこと、といった課題に沿った演習をしました。各自やグループで、対人交流の様子を振り返ったり、他グループの様子から学んだりして、多職種連携のチームプレーに必要な視点を得られた有意義なものでした。
2日目後半と3日目は、事例に対して多職種のグループで援助策の検討をしました。情報収集の段階から疑似患者さんへの提案のロールプレイまでを、実際の臨床に近い形で行いました。リアリティ溢れる患者役を前に、医療者役の学生は時に怯みながらも、懸命にチームで考えた方策を訴えることが出来ました。
また、3日間を通して昼の時間は薬膳に関する講義を受け、薬膳弁当を頂きました。学生は自分の体質を問診票で判断してから、"薬食同源"について学びました。身の回りの食材でも十分に薬膳が実践出来ると知り、東洋医学が身近なものになりました。
台風接近のため、2・3日目は当初のスケジュールを変更して行いましたが、学生たちは風雨に負けない熱いディスカッションを展開し、いかに患者さんにとって役立つ援助策を提案できるかと、知恵を結集させました。3日間を通じて、机上の学習ではなく実際に体験しながら学び学生相互の議論を経ることで、チームワークに関する取り組みや、専門領域の枠を超えた"医療人"として、総合的な視点を身につけることが出来たと思います。
また、他大学の学生との交流は他領域の理解とお互いの刺激になり、良かったという声が多く聞かれました。昨年度のワークショップ受講生から組織された"学生サポーター"達も、各所でプログラムのサポートをしてワークショップを盛り上げてくれました。
医療分野のさまざまな領域を学ぶ学生が慢性疼痛をテーマに一同に集い、集中的に体験学習をする試みは、全国でも類を見ないものです。後期は1年生を対象に、両大学を遠隔システムで結んだ合同講義が行われます。慢性疼痛に関する高度な知識を有するプロフェッショナルな集団として、今後の地域医療ネットワーク構築も期待されます。