2017年10月02日
9月29日(金)から10月1日(日)まで、日本地理学会2017秋季学術大会及び四日市公害訴訟判決45周年公開シンポジウム「四日市公害の教訓とアジアの国際環境協力」を開催しました。
日本地理学会は1925年に設立され、会員3,000名を越える、人文地理学、自然地理学、環境地理学等学問横断的学会で、三重大学にて開催されるのは1986年9月以来、31年ぶりの開催となりました。
日本地理学会2017秋季学術大会
今年は、四日市公害訴訟判決45周年となる節目となる年でることから研究発表だけでなく、日本地理学会及び三重大学地域ECOシステム研究センターとの主催、四日市市及びICETT(国際環境技術移転センタ−)等の後援によって、一般参加の可能な公開シンポジウム「四日市公害の教訓とアジアの国際環境協力」を開催しました。
「四日市公害の教訓とアジアの国際環境協力」のポスター
大会初日の懇親会において、戸所 隆日本地理学会長、朴 恵淑大会委員長、尾西康充理事・副学長の挨拶の後、三重の食材を中心とするメニューや三重大学のお酒などを楽しみながら交流を深めました。
(左)戸所 隆日本地理学会長 (右)朴 恵淑大会委員長
尾西康充理事・副学長
9月30日(土)の「四日市公害の教訓とアジアの国際環境協力」の公開シンポジウムにおいて、森 智広四日市市長から、今年が四日市市制120周年となる記念すべき年であることを踏まえ、四日市公害の教訓を活かした環境先進四日市市を創ることや四日市市と交流協定を結んでいる中国天津市との国際環境協力を積極的に進めるので、地理学会の英知を集約した環境政策を展開したいとの挨拶がありました。
伊藤達雄名誉教授からは、地域の環境問題を解決するための地理学の社会的責任として、学融合・学分裂が必要不可欠であることから本公開シンポジウムの成果が多いに期待できるとの発表がありました。特に、四日市公害訴訟において9名の原告側の唯一の存命者で、四日市公害の語り部ある野田之一さんと朴 恵淑教授との環境懇話において、野田さんから四日市公害によって30代にぜんそくに苦しみ、四日市公害裁判に勝ったけれども、四日市コンビナートからの黒い煙が出ていた状況から「45年前はありがとうは言えなかったけど、青空が戻ったいまはありがとうと言える。」と発言されました。
また、三重大学生や中高生へのメッセージとして、「四日市公害のような悲劇を二度と繰り返さないためには、人に迷惑をかけずに、人に幸せを提供することを考えるべき。」とアドバイスされ、会場に大きな感動と新たな決意が倦まれました。続いて、アジア諸国の韓国、中国、モンゴル、ベトナムの環境問題に関する研究発表及び会場の参加者との討論が行われました。
森 智広四日市市長の挨拶
伊藤達雄名誉教授の研究発表
四日市公害語り部の野田之一さんと朴 恵淑教授との環境懇話