2017年07月21日
7月1日(土)をもちまして、伊賀サテライト内に「国際忍者研究センター」が設立されました。本センターは、伊賀地域を中心として忍者に関する教育研究を推進し、その成果を広く国内外に発信することにより、国際的な忍者研究の拠点として機能するとともに、伊賀の地域創生に資することを目的としています。
これを記念し、同日ハイトピア伊賀3階コミュニティ情報プラザホールにおいて、セレモニーを開催しました。
はじめに、駒田美弘 三重大学長、岡本 栄 伊賀市長、中井茂平 上野商工会議所会頭代理が国際忍者研究センターの看板を設置し、セレモニーが開始されました。
写真左より、岡本市長、駒田学長、中井会頭代理
記者会見では、駒田学長より「忍者・忍術を学問として体系づけ、将来的には国際的な学会も開催したいと考えています。センターの今後の発展にご期待いただきたいと思います」と、また、岡本市長より「忍者の聖地である伊賀にセンターが設置されたことは、三者(三重大学、伊賀市、上野商工会議所)が協力した結果が形になったことと思います。忍者は世界的な人気がありますが、これを一過性のものとするのではなく、学術の面からは研究者の方、観光の面からは観光客の方をお迎えし、未来永劫続いていければと考えております」と挨拶がありました。
続いて、安食和宏 国際忍者研究センター長(人文学部長)より、三重大学における忍者文化研究の歩みと今後の活動方針について説明があり、国際忍者研究センターの教員3名について紹介がありました。
安食センター長(人文学部長)
三重ならでは、伊賀ならではという文化資源を研究し、それを題材として若者を教育し、地域活性化に結びつけるというモデルケースとなれるよう、活動していきます。
山田雄司 国際忍者研究センター副センター長 (人文学部 教授)
海外の忍者研究者の方は、忍者研究が現代社会においてどのように活用されているかに関心がある。歴史的な面は国際忍者研究センター、科学的な面は伊賀研究拠点が担当し、今後は忍者の存在・忍者研究をどのように活用していくかを意識して研究を実施していきます。
高尾善希 国際忍者研究センター准教授
"江戸時代(徳川幕府)における忍び・伊賀者"を専門としています。センター常駐者の業務としては、伊賀地域内の資料発掘と整理、日本全国に分布していた忍びの情報収集、古文書に関する講演会等の活動を予定しています。
吉丸雄哉 国際忍者研究センター兼務教員(人文学部 准教授)
専門は日本近世文学で、書籍や映画等のフィクション作品から我々の忍者像がどのように作られてきたか、という面から忍者研究を行います。将来はセンター内に忍者関連の資料を揃え、一般の方も閲覧できる図書館としての機能を構想しています。
最後に、中井茂平 会頭代理より「忍者と伊賀の関係を強くアピールし、三者(三重大学、伊賀市、上野商工会議所)一体となり、忍者を紐解いていきたいと考えています」と挨拶があり、半世紀に渡り忍者を研究しているロンドン大学研究員のStephen Turnbull(ステファン タンブル)氏より「他に国際的な忍者の研究センターは存在しません。日本とイギリスの忍者研究の架け橋として、尽力したいと思います」とコメントがありました。
報道各社からも質問が相次ぎ、盛況のうちに記者会見は終了しました。
記者会見終了後は、記念講演会を開催しました。文部科学省高等教育局の森 次郎氏(国立大学法人支援課課長補佐)より、地域拠点サテライトをはじめとする地域との取り組み、そして文部科学省情報ひろば企画展示「忍者を科学する!」(2015年)、日本科学未来館企画展「The NINJA -忍者ってナンジャ!?」(2016年)にふれ、「学術的な忍者研究と国際的な情報発信により、地域と世界を繋ぐ新たな展開が生まれることを期待しております」と、そして河口瑞子 三重県雇用経済部観光局長より「国内外のお客様をお迎えするにあたり、忍者は日本固有のクール(格好よい)コンテンツとして、強力な武器となっています。今後は、研究活動に裏打ちされた情報発信が重要となってくると考えており、国際忍者研究センターの益々の発展を祈念いたします」と、お祝いの言葉をいただきました。
河口観光局長
続いて、タンブル氏より「天正伊賀の乱-伝説の形成-」と題し、記念講演がありました。
天正伊賀の乱は織田信長の次男である織田信雄と当時の伊賀国の戦であり、忍者を題材とした数多くの映画のモデルとなっています。タンブル氏は天正伊賀の乱がどのようなものであったかを実在する史料を用いて解説し、「天正伊賀の乱を題材とした映画を沢山の人に楽しんでほしいと思います。天正伊賀の乱は伊賀の誇るべき歴史です。これからも伝説として語り継がれることでしょう」とお話がありました。
最後に、パネリストとして岡本 栄 伊賀市長、廣澤浩一 伊賀上野観光協会会長、山田雄司 国際忍者研究センター副センター長の3名のパネリストと、司会の尾西康充 伊賀サテライト長によるシンポジウムを開催し、「国際忍者研究センターへ期待すること」、「忍者以外のコンテンツの今後の活用」、「忍者を研究する意義」等について、各々の視点から意見交換がありました。
セレモニーには約200名の方にご参加いただき、さらに多くの報道各社から取材があり、忍者研究に対する関心の高さが伺えました。
国際忍者研究センター、そして三重大学の今後の取り組みにご期待ください。