2017年03月17日
3月10日(金)、環境・情報科学館PBL演習室において全学FD(※)セミナー「高大接続とパフォーマンス評価の在り方」を開催しました。当日は学内外から42名の参加がありました。
(※)FD(Faculty Development)とは、大学教育の質的向上を図るための様々な試みや努力の総称
地域人材教育開発機構 山本裕子講師による司会の下で、山本俊彦理事(地域人材教育開発機構長)から開会挨拶が行われました。
西岡加名恵准教授(京都大学大学院教育学研究科)の講演においてはまず、高大接続改革の背景として大学全入時代やOECDのキー・コンピテンシーなどの「資質・能力」重視の方針が示され、今後の高大接続システム改革および2017年改訂学習指導要領の方向性として、学生が何をできるようになったかという「資質・能力」重視の方針に伴い学習評価が課題となることが説明されました。
続いて、パフォーマンス評価が「知識やスキルを使いこなす(活用・応用・総合する)ことを求めるような評価方法」であると述べ、具体的な方法としては、ポートフォリオやルーブリックを挙げられました。学生に課すパフォーマンス課題づくりの手順については、深い概念理解をもたらす「本質的な問い」を明確にすることの重要性を示されました。ルーブリックの作成方法としては、学生が提出した作品を複数の教員で互いの採点が分からないように採点し、似た評点がついた作品を集め、特徴について話し合うことによって、記述語(規準と徴候)を作成できると説明されました。
最後に京都大学で学部ごとの内容が展開されている特色入試について紹介がありました。教育学部の特色入試において、第1次選抜の審査の一つとして学生が作成する「学びの報告書」は、大学生活の目標、どのように学びたいか等を具体的に記述させる内容となっており、パフォーマンス評価を重視していることがうかがえました。
質疑応答、ディスカッションにおいては、地域人材教育開発機構教学IR・教育評価開発部門長の中西良文准教授が指定討論者を務めました。
中西准教授は、本学で実施している、修学達成度調査(「4つの力に関するアンケート」)、学びの振り返りシート(「授業改善のためのアンケート」)、教育満足度調査(「三重大学(三重大学大学院)に対する意識アンケート」)を紹介しながら4つの論点を提起しました。例えば、調査・評価の運用においては、調査項目にあがった全ての内容ができることが求められることになってしまうが、現実的には不可能ではないかという論点に対して、西岡先生は全てのものを評価しないようにする姿勢が重要であると述べました。
最後に冨樫健二副機構長から閉会の挨拶があり、パフォーマンス評価の全学的な導入に向けて、その意義や方法を理解する上で非常に有意義なセミナーとなりました。