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【三重大学の先生紹介】医学部看護学科 土田幸子助教

2013年11月27日

三重大学には、現在約760人以上の教員が在籍し、5学部6研究科の中で様々な研究活動に取り組んでいます。

医学部の土田幸子助教は、心療センターで働いていた元看護師。その経験を生かして、現在、医学部看護学科で看護師を目指す学生に教鞭をふるいながら「親&子どものサポートを考える会」を立ち上げ、全国に活動を広げています。今回は、太陽のような笑顔が素敵な土田先生に広報室員がインタビューしました。


【土田幸子先生プロフィール】
専門:精神看護学
学歴:三重県立看護大学 看護学修士
職歴:1986.04~2001.03 三重県立小児心療センターあすなろ学園 看護師
         2001.04~2003.03 松阪看護専門学校 専任教員
現在の研究課題:精神障害を持つ実親と生活する思春期年代の子どもの生活状況の把握と支援に関する研究

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-本日は、お忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。改めてお伺いしますが、土田先生のご専門の「精神看護学」とはどのような学問でしょうか?

土田
多くの人がストレスを抱える現代、心のケアが重要な社会となってきました。そうした中で、看護教育の重要な柱の一つに精神看護学が位置づけられます。三重大学では、医学部看護学科に成人・精神看護学講座として設けられていますが、その中で、精神障害のある対象とその家族に対する看護行動・技術・理論について教授・研究しているのが、「精神看護学」です。

                                                                   (広報室員のインタビューに答える土田先生)
 
-先生の研究についてご紹介いただけますか?

土田
私は、精神障害を持つ親と生活する思春期年代の子どもの生活状況の把握と支援に関する研究を行っています。日本では、精神障害を抱えながら子育てをする親に対しては、社会福祉・社会保障の面から支援が行われています。その一方、そうした親と暮らす「子どもたち」には、ほとんど焦点が当てられてきませんでした。実は子どもたちの中には、大人になってから過去の経験による「複雑性PTSD(心的外傷体験)」等に悩まされている例も少なくありません。そこで、子どもたちの生活状況を把握して、子どもたちのニーズに合った支援プログラムを考えることを目的に、「親&子どものサポートを考える会」を発足しました。


写真左(啓発活動として行っている講演会の様子)、 写真右 (交流会の様子)

-「親&子どものサポートを考える会」について詳しく教えていただけますか?

土田
2009年に発足したこの会では、医師、看護師、保健師、精神科ソーシャルワーカー、スクールカウンセラーや教員等が運営メンバーとなり、定期的にシンポジウムやセミナーを開催しています。精神障害を持つ親と暮らす子どもたちは、その体験や、障害を持つ親のことを誰にも相談できません。一人で抱え込んでいることが多いです。人に悟られてはいけないとの思いから、周りの人と距離を置いて接してしまうため、孤立しがちになっています。この会では、そうした子どもたちや、過去にそうした経験を持つ大人たちに参加してもらい、仲間と集い、情報交換できる場を設けるようにしています。

-精神障害ということからデリケートな問題も多く含むと思います。会の運営にはどのような難しさがあるのでしょう?

土田
子ども時代に、親が精神障害を持っていることを "おおっぴろげ" にしてはいけない、という意識を持っている方が多いので、この交流会に参加されてもなかなか本心を語ろうとされない方もいます。しかし、2回3回と参加するうちに「自分たちの経験を言ってもいいんだ」と思うようになり、語ることによって辛い過去を受け止められるようなっていくように思います。会の活動がますます浸透し、気兼ねなく語り合える場が全国に広がれば、一人で悩みを抱えている子どもたちの心を軽くすることができるんだ、という信念を持って活動をしています。


写真左:学会でのポスター発表、写真右:「親&子どものサポートを考える会」第9回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)支援者部門 受賞時の様子(2013年3月8日)

-将来、子どもたちにとってどのような社会が形成されていくことを望みますか?

土田
のびのびと子どもらしく生きられる社会がいいですね。子どもは、精神障害を抱えて苦しむ親を「助けたい」という気持ちがあるかもしれませんが、"いい子" にならなくてもいいんだよ、と教えてあげたいです。そのためには、地域の人を中心とした支援体制を社会全体で整える必要があります。 

-最後に、精神看護学の道を目指す学生さんに一言お願いします。

土田
精神看護は人と人とのキャッチボールが何より大事です。患者さんを特別視せずに、その人の健康的な部分も見ることを忘れないでください。あなたの個性が生かせる領域です。一緒に頑張りましょう。

-土田先生、本日はありがとうございました。

★★「親&子どもサポートを考える会」のHPはこちら→http://www.oyakono-support.com/

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