2013年08月27日
8月23日(金)、総合研究棟Ⅱ号館の第2・3会議室において、標記記者会見を開催しました。
この記者会見は、このたび、医学系研究科薬理ゲノミクスの田中利男教授、西村有平講師、神経病態内科学の冨本秀和教授、矢田健一郎講師、そしてキヤノン株式会社の研究員らの共同グループが、血液脳関門障害を非侵襲的に生きたまま可視化する手法の開発に成功したことにより、開催したものです。
本研究成果は、アメリカ化学会(ACS)より発行されている科学誌「ACS Chemical Neuroscience」2013年8月号に掲載され、その表紙を飾りました。
脳には血液脳関門と呼ばれる関所が存在し、脳に必要な物質を選択的に血液から脳に取り込み、逆に不要な物質を脳から血液中に排出しています。しかし、脳梗塞やアルツハイマー病など、多くの脳疾患において血液脳関門が障害され、病態の基盤となっていますが、頭がい骨に守られているため、これまでは侵襲的血管造影でしか病態を確認することができませんでした。
本研究では、脳疾患モデル動物における血液脳関門障害を非侵襲的かつライブに可視化することを実現する、新しい蛍光色素を開発しました。脳疾患モデル動物であるゼブラフィッシュでは飼育水へこの色素を添加するだけで、モデル動物における血液脳関門障害を 生きたまま評価することが可能となりました。この技術の開発により、血液脳関門障害に対する治療薬の探索が驚くべきスピードで進むと思われます。
説明する田中教授(写真左側)と西村講師(写真右側)