概要

植物も病気になります。人類による農林業が始まって以来、病害との戦いが続いています。近年では、グローバル化や国内流通の発達により、
菌類、バクテリア、ウイルス、センチュウといった病原も共に移動、侵入し、さらに温暖化によりこれまで生息していなかった地域に定着する
現象が見られます。これらの問題解決に資するため多くの大学で植物病理学の研究室が設置されています。一方で、これら病害の診断を専門的
に教育・研究する機関は少なくなっており、特に樹木病害については皆無です。そこで、日本で唯一の樹木医学に特化した大学の機関として、
リサーチセンターとして設置することにしました。連携大学院を構成する国の研究機関や、公設の研究機関、樹木医会と連携し、果樹・庭園樹
・街路樹・天然記念物・森林の病害や、森林の衰退の原因を明らかにするとともに、微生物を利用した森林の健全育成の手段を提案します。そ
して、これらの病原微生物もしくは共生微生物の多様性、生態を明らかにし学術成果として世界に発信し、それらの生物の系統保存を行います。
また、教育面では、研究者、農学系学生、森林学系学生が連携して問題解決にあたることで相互に技術や知見の交換が可能な場である研究会や
講習会を計画し、樹木と森林保護の臨床的教育による人材育成のハブ、すなわち樹木医学における大学病院的役割を果たすことを目指します。

構成研究者

生物資源学研究科 教授 中島千晴 (代表)(植物病原菌分類学, 診断)

生物資源学研究科 教授 松田陽介 (副代表)(森林微生物生態学)

生物資源学研究科 准教授 白水貴 (メンバー)(菌類生態学)

生物資源学研究科 助教 北上雄大 (メンバー)(線虫学)

認定年月日: 令和3年3月11日

認定期間: 令和3年4月1日~令和5年3月31日

連絡先: 生物資源学研究科 教授 中島千晴

chiharu@bio.mie-u.ac.jp



研究計画:

1. 地域的課題となっている樹木病害の診断

 三重県を中心に国内で発生する樹木病害の診断について、国内の研究者、樹木医、栽培者と共に解決する。
 特に、病原の同定に関して責任を持って対応し、診断の根拠となるデータを提供する。

2. 地域的課題となる健全な森林の育成

 中部圏、紀伊半島など三重大学の位置する地域の豊かな森林を育成するため、病害のみならず、森林生態系
 の中での共生微生物や物質循環の役割を明らかにする研究を実施する。

3. 植物病原微生物の分類学的研究

 植物の病原となる糸状菌の分類学的位置づけを明らかにし、正確な診断のための分類学的研究を行う。植物
 病原菌分類学のアジアにおける拠点の1つとなるべく、この分野の国際共同研究を強力に推進する。

4. 植物病原の早期検出技術に関する研究

 分類学的知見を基にして、重要病原菌の早期検出技術や薬剤耐性菌の迅速診断技術の開発を行う。

TOP