リサーチセンターResearch Center
三重大学 炎症性皮膚疾患リサーチセンター
研究概要

研究の背景・目的
尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の罹患率は増加傾向にあり社会問題となっている。三重大学皮膚科では、これらの炎症性皮膚疾患を重点的に治療しており、生物学的製剤にて加療中の患者数は500名を越え臨床データの集積も豊富である。他方、研究面に於いては、皮膚は免疫組織としては最大の臓器の一つであるため尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎などの皮膚の慢性炎症により皮膚局所から産生されるサイトカインが生体の免疫に与える影響は甚大であり内臓臓器に影響を及ぼすと思われるが、適切なモデル動物が少なく炎症皮膚病変由来の持続性サイトカイン血症がもたらす臓器障害を調べた報告は少ない。
本センターでは本学皮膚科の豊富な臨床データに基づき、自ら作成した自然発症皮膚炎モデルマウスを用いて、皮膚炎発症後に皮膚炎症病巣部から産生される炎症性サイトカインにより、全身の炎症、特に非アテローム性動脈硬化・脂質代謝異常に加えて、アミロイドーシスを生じるに至る可能性を検討し、これら内臓病変の一部が抗サイトカイン抗体の投与により回避でき、治療戦略を作成できる可能性を証明し報告した。そして乾癬やアトピー性皮膚炎が単に皮膚のみに影響を与えるに止まらず、心・脳血管病変にも深く関与することを証明し"Inflammatory Skin March"という概念を提唱した。その後の研究業績も豊富に発表でき、分野は精子活動・骨粗鬆症・不安神経症に於ける病態も提唱した。
本センターでは、当該分野に於ける実績において世界でリードしている本学皮膚科の実績に基づき、今後の研究・臨床の業績の更なる集積が期待される。
研究内容
(1)尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎等、炎症性皮膚疾患の治療データの集積
(2)尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎のモデルマウスを通じた内臓合併症の研究
(3)東海炎症性皮膚疾患研究会の定期開催(年に3回)