三重大学 海藻バイオリファイナリーセンター

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1.研究の背景,ニーズ及び目的

 「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき,バイオマスの利活用による「ものづくり」を目指した基盤技術の開発研究が進められている。しかしながら,国土の狭い日本の場合,ソフトバイオマス,ハードバイオマスを用いたバイオリファイナリーは,原料であるバイオマスの確保がボトルネックと指摘されており,いずれも実現は困難であると考えられている。  申請者のグループでは,2011年からJST・CREST研究にて海藻バイオリファイナリーに関する研究を展開してきた。世界第6位の排他的経済水域を持つ日本にとって,海藻類は特徴的なバイオマスである。したがって,海藻バイオリファイナリーは,日本で唯一実現可能なバイオリファイナリーと見なすことが出来る。このリサーチセンターでは,「海藻の育種」,「細菌類を用いた海藻の分解と発酵」,「付加価値の高い物質の生産」をキーワードに,三重から世界をリードする海藻バイオリファイナリーの基盤技術の開発と成果の発信に取り組む。

2.研究内容及び期待される研究成果

  (※ 認定期間の更新の場合は,これまでの活動の概略を踏まえて記載すること。)  研究の実施項目と期待される成果を以下に示した。
  1. 有用海藻の育種法の開発に関する研究
     これまでに,東紀州域に分布する海藻類の中からバイオリファイナリーに適した藻種の調査と選抜を終了している。ターゲットの海藻類について,種苗の開発,海面養殖ならび陸上養殖の技術開発に取り組む。バイオマスの安定確保に加え,将来的に水産業への経済効果が期待出来る。
  2. 細菌類を用いた海藻分解および発酵に関する研究
     海藻類を構成する成分の大半は,多糖類である。海藻分解が可能な細菌類のライブラリーを構築し,それらの持つ酵素群と代謝産物の解析に取り組む。酸,アルカリ処理を伴わないシンプルな糖化プロセスの構築とともに乳酸、ブタノール等の発酵を目指す。
  3. 付加価値の高い物質の生産に関する研究
     バイオリファイナリー技術の確立には,ライフサイクルアセスメントの観点からトータルプロセスの経済性を評価しなければならない。海藻類を構成する成分の多くは,陸上植物由来のものとは異なる分子構造と生理機能を有しており付加価値も高い。有機酸,希少糖,ポリフェノール類等,有用物質の生産に関する技術開発に取り組む。

3.これまでの外部資金獲得状況

  1. 科学研究費補助金(基盤研究C)
    研究課題名:新しい希少糖アルギン酸デオキシ糖の生産と機能性の解析
    研究期間:2017年4月~2020年3月
    研究経費:4,550千円(直接経費:3,500千円,間接経費:1,050千円)
  2. 東海広域5大学ベンチャー起業支援:スタートアップ準備資金
    技術シーズ名:アルギン酸からの不飽和ウロン酸単糖の製造方法
    日付:2017年3月
    採択金額:1,600千円
  3. JST戦略的創造研究推進事業CREST
    研究課題名:有用フィトケミカル活用のための大型褐藻類対応プラットフォーム技術の開発
    研究期間:2011年10月~2017年3月
    研究経費:121,934千円(直接経費:93,795千円,間接経費:28,139千円)
  4. 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業
    研究課題名:高効率バイオ燃料生産に向けたセルロソーム再構築微生物の基盤研究
    研究期間:2014年4月~2016年3月
    研究経費:45,280千円(直接経費:31,696千円,間接経費:13,584千円)
  5. イノベーション創出基礎的研究推進事業 若手育成枠
    研究課題名:高効率バイオ燃料生産に向けたセルロソーム再構築微生物の基盤研究
    研究期間:2011年4月~2014年3月
    研究経費:26,055千円(直接経費:18,239千円,間接経費:7,816千円)
  6. 科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究課題名:ソフトバイオマス完全糖化を目指したデザイナブルセルロソームの基盤研究
    研究期間:2010年4月~2013年3月
    研究経費:4,680千円(直接経費:3,276千円,間接経費:1,404千円)
  7. 科学研究費補助金(若手B)
    研究課題名:生態および代謝学的知見による水産プロバイオティクス菌の有効性の実証
    研究期間:2009年4月~2012年3月
    研究経費:4,550千円(直接経費:3,500千円, 間接経費:1,050千円)

4.今後の外部資金獲得計画

 現時点で以下の研究開発事業への応募を計画している。
  1. JST戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発(ALCA)
  2. JST戦略的創造研究推進事業ACCEL

5.構成研究者

三重大学生物資源学研究科 准教授 柴田敏行(センター長)
三重大学生物資源学研究科 准教授 田中礼士
三重大学生物資源学研究科 准教授 三宅英雄
三重大学地域拠点サテライト・東紀州サテライト 研究員 山本康介
三重大学国際環境教育研究センター 環境ISOアドバイザー 山本康介
東京海洋大学 准教授 松井隆宏
九州大学農学研究院 名誉教授 川口栄男
東京農工大学大学院 准教授 モリ テツシ

センター長

生物資源学部 准教授  柴田敏行

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