三重大学 建築環境技術リサーチセンター

研究概要

建築環境技術リサーチセンター 概要

センターの認定期間

平成26年4月1日  ~  平成31年3月31日

研究計画

1.研究の背景,ニーズ及び目的

建築の目的は外界の厳しい自然環境から人間生活を護ることにあり、快適な室内環境を実現することは建築技術分野の長い発展過程における主たる目標であった。したがって、建築における環境問題とは従来、室内熱環境、空気環境、光環境、音環境および日照環境を人間にとって快適な状態に形成、維持することであり、これらを研究対象とする分野が"建築環境工学"と称される分野である。一方、高度経済成長期の公害問題の発生に関連し、大気汚染、水質・土壌汚染あるいは自然保護などの広域環境を対象とする研究分野は"環境工学"と称され、この両者は世間一般では概ね混同されているが研究対象は明確に異なっていた。しかしながら、近年の広義の地球環境問題(地球温暖化問題)や建築物のサステナビリティへの関心が集まる中、建築環境工学分野においても、単なる建築物の省エネルギー対策や室内快適環境等に限定されたこれまでの建築環境性能よりも広い意味での建築環境性能を有する建築が強く求められるようになって来ている。
そこで本リサーチセンターでは、従来の省エネルギーや室内環境の快適性に関する技術開発(建築環境技術分野)に加えて、建築周辺への環境負荷の少ない材料の開発(建設材料・施工技術分野)や建築周辺の景観等をも含めた総合的な建築環境を配慮した建築設計・施工技術の開発を目的としている。

2.研究内容及び期待される研究成果

建築分野の環境技術の発展・深化を目指し、建築・建設技術に関わるメンバーが、個別および共同の研究に取り組む。具体的な研究内容と期待される成果は以下の通りである。
(1)環境対応型建設材料の開発と応用
 建設材料・施工技術分野としては、CO2排出量を通常のセメントの使用時と比較して大幅に低減できるジオポリマー製造技術、コンクリート材料として産業副産物などを有効利用するリサイクルコンクリート技術、ポーラスコンクリートをはじめとする多機能コンクリート技術などの研究実績がある。これらの建設材料分野の基礎的な研究成果を、建築環境分野の研究者と連携して発展させることで、低環境負荷かつ高機能な、新たな建設材料の開発を試みる。
(2)各種蓄熱技術を利用した省エネルギー・低環境負荷型空調システムの設計法の開発
 建築物の空調用熱源として用いられる蓄熱技術は多様である。しかしながら、建築物の断熱化による負荷軽減とのマッチングを考慮した総合的な空調設計を行うためには、各蓄熱技術と建築物(負荷特性)を総合的に予測し評価する設計法の開発が不可欠であり、これらを可能とする設計法の開発を行う。
(3)音環境の負荷低減および快適性向上に関する建築環境技術の研究
 建築・都市空間における音環境の負荷の低減(騒音制御)をはかり、さらに目的に応じた音環境の機能性や快適性の実現(音響設計)をはかることが研究の目的である。具体的には、音環境・室内音場の機能性・快適性に対する空間構造パラメータの影響の解明、サウンドスケープの観点に立った音環境整備手法の開発と展開、次世代遮音材料と吸音機構・材料の開発などが挙げられる。
(4)上記の(1)~(3)の複数の研究を有機的に結びつけた新たな応用研究
 建設材料・施工技術分野と建築環境技術分野を有機的に結びつけた応用研究としては以下のようなテーマが挙げられる。

  • 新たに開発された材料により建設される建築物の室内環境評価および外部環境へ与える各種負荷を定量的に評価するシステムの構築
  • 街区レベルでポーラスコンクリート舗装を適用した際のヒートアイランド現象の緩和効果や集中豪雨時における外部環境負荷の改善効果の検証
  • 室内において空調や換気システム等から発生する騒音の快音化やそれらを適切にマスクするマスキング音の開発
  • 都市空間の環境騒音低減をはかるための吸音性ポーラスコンクリートの適用方法の検討

構成研究者

三重大学大学院工学研究科建築学専攻 教授 永井 久也(センター長)
三重大学大学院工学研究科建築学専攻 教授 畑中 重光
三重大学大学院工学研究科建築学専攻 准教授 寺島 貴根
三重大学大学院工学研究科建築学専攻 准教授 北野 博亮
三重大学大学院工学研究科技術部   岩田 剛
三重大学大学院工学研究科技術部   和藤 浩

センター長

工学研究科 教授   永井 久也

一覧にもどる

TOP