リサーチセンターResearch Center
三重大学 次世代ICTリサーチセンター
研究概要
研究計画
1.研究の背景,ニーズ及び目的
ICT (Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略であり、コンピュータやデータ通信に関する「情報技術」を意味するIT (Information Technology)と、人と人、人と物を結ぶコミュニケーション技術の総称である。ICTが生活の隅々に融けこむことによって、あらゆる人や物が結びつくユビキタス社会を実現することができる。ユビキタス社会では、高齢者や障害者を含め誰でもが簡単にICTを利用することができる、世代や地域を越えたコミュニケーションが盛んになる、独創的なビジネスやサービス、新しい社会システムや価値観が次々と生み出される、個性ある活力の湧き上がることなどが期待されている。さらに最近、急速に進んでいる社会のIOT化にとっても、ICT技術の重要性は高まっている。
本センターは、ICT技術を用いて快適で安心・安全な社会を実現するために、「情報通信」、「高度コンピュータシステム」、「画像処理」、「人間情報学」の4分野について、新しい革新的な次世代のICT技術の基礎研究と実用化を行うことを目的としている。
2.研究内容
「情報通信」と「高度コンピュータシステム」の分野では,次世代の高度情報通信ネットワーク実現のための各種要素技術の研究開発を行うとともに、環境にやさしい高性能コンピュータシステムを開発するためにハードウェア、ソフトウェアの両面から研究を進める。また、「 画像処理」と「人間情報学」の分野では、人とコンピュータとのコミュニケーションに不可欠な、HCI (Human Computer Interaction) の基礎となる人間の記憶と学習に関連する、また、医学分野との連携を図る、画像処理・パタ
ーン認識に関する研究や、人間のさまざまな感覚の特性を調べ明らかにする研究を進めるとともに、人間の学習や教育を支援するための新しいシステムの研究開発を行う。各分野における具体的な研究内容は以下のとおりである。
(1) 情報通信分野
・ユビキタスコンピューティングや高機能オーバーレイネットワーク実現のための、無線変復調技術、無線アクセス制御技術、モバイルネットワーク技術、光通信ネットワーク技術等の高性能・高機能・高効率化技術
・ネットワークセキュリティ向上のための不正アクセス検出技術とその防御技術
・光ファイバセンサの高機能化技術とその構造モニタリングへの適用化技術
・無線センサネットワーク構築・設計技術と無線信号検出、無線信号処理
(2) 高度コンピュータシステム分野
・計算グリッドや高並列プロセッサ新構成(GPU)用の使い易いプログラミング言語と高度な自動最適化技術
・組み合わせ最適化に基づく最適木取りアルゴリズムの開発と、制約解消に基づくプログラム解析の基盤技術
・新しい動作原理に基づくコンピュータシステムの設計手法および設計自動化手法
・組込みシステムのハードウェア/ソフトウェア設計
・電力管理の高機能化のための電力割当制御IoTデバイス・システム
(3) 画像処理分野
・文字認識と画像理解に関する基礎研究を行い、電子文書、文書検索、電子カルテ、タブレットアプリケーション、カメラベース文字認識などのイノベーティブな先進分野の技術
・医師により蓄積された医学の先端知識をコンピュータに埋め込む方法を考察することによる、超音波画像、光干渉断層画像、MRI画像、X線画像などを利用した疾患部の自動解析技術と、先進的な診断環境の構築
・コンピュータグラフィックス技術を利用した、医師患者間共通理解支援のための3D画像解析結果表示技術
・パターン認識技術を応用した,顔,署名などのバイオメトリクスに基づく個人認証技術,果実の自動選別技術
(4) 人間情報学分野
・脳感覚神経系の機能再建に向けた次世代補綴治療に関する技術とシステム
・生体神経模倣型スパイク演算を行う組込み情報処理システム
・人工ニューラルネットワークを用いた次世代電子治療技術
・乗物酔の原因やメカニズムの明確化と、乗物酔を抑制する技術
・機械動作音に対するヒトの印象と対応のよい新しい物理評価指標の探索
・学生の理解状況を正確に把握し効果的な講義・演習を行うための教育支援システム
・知的障害者や肢体不自由児童のためのPC利用訓練システム
・教育関連データの収集・活用のための基盤技術
・小学生向けタブレットアプリケーション
毎年、年1回、次世代ICTリサーチセンター全体研究打ち合わせを行うことを計画している。
3.期待される研究成果
これまで、「情報通信」、「高度コンピュータシステム」、「画像処理」、「人間情報学」の4分野において、新しい革新的な次世代のICT技術の基礎研究と実用化を目指して研究を行ってきた。研究活動で得られた多くの成果を、論文や学会に積極的に発表した。また、研究活動の一環として次世代ICT講演会を開催するなど、構成員間の連携を図る活動も行ってきた。
今後もこれまでの研究を継続、発展させるとともに4分野の融合をさらに進めることによって、IoT(Internet of Things)の普及や今後のSociety5.0の社会を支える次世代ICT技術の発展に貢献できることが期待される。
構成研究者
工学研究科 | 教授 | 河内亮周(センター長) |
工学研究科 | 教授 | 高木一義 |
工学研究科 | 教授 | 真鍋哲也 |
工学研究科 | 教授 | 成瀬央 |
工学研究科 | 教授 | 林田裕樹 |
工学研究科 | 教授 | 若林哲史 |
工学研究科 | 教授 | 森香津夫 |
工学研究科 | 教授 | 高瀬治彦 |
工学研究科 | 教授 | 村田博司 |
教養教育機構 | 教授 | 野呂雄一 |
工学研究科 | 准教授 | 成枝秀介 |
工学研究科 | 准教授 | 森本尚之 |
工学研究科 | 准教授 | 松岡真如 |
工学研究科 | 准教授 | 北英彦 |
工学研究科 | 准教授 | 川中普晴 |
工学研究科 | 准教授 | 羽多野裕之 |
工学研究科 | 講師 | 大野和彦 |
工学研究科 | 講師 | 山田俊行 |
工学研究科 | 講師 | 奥原俊 |
工学研究科 | 助教 | 小川将樹 |
工学研究科 | 助教 | 盛田健人 |
工学研究科 | 特任助教 | Maharshi Ray |
工学研究科 | 助教 | 眞田耕輔 |
総合情報処理センター | 助教 | 堀川慎一 |
総合情報処理センター | 助教 | 白井伸宙 |
センター長
工学研究科情報工学専攻 教授 河内 亮周