三重大学 ソフトマターの化学リサーチセンター
(Soft Matter Chemistry Research Center)

研究概要

三重大学ソフトマターの科学リサーチセンター 概要

研究計画

1.研究の背景,ニーズ及び目的
ソフトマターは高分子、液晶分子、両親媒性分子などの有機分子、あるいはコロイド、ゲル、ミセル、分子膜などの高次構造体からなる軟らかい物質であり、繊維、ゴム、界面活性剤、塗料などとして我々の生活に不可欠であると同時に、生命体そのものを構成している重要な物質群である。今日、ソフトマターは液晶ディスプレイ、導電性プラスチックをはじめとする高機能製品の製造に用いられているだけでなく、医療用材料にも活用されている。
金属、セラミックスなどのハードマターが歴史的に古くから利用されてきたのに対して、ソフトマターの本格的な研究が始まったのは比較的最近のことである。ソフトマターによる材料開発の急速な進展は、有機分子の合成技術及び複雑系物質の分析技術の進歩によるところが大きい。ソフトマターを構成する有機分子は、原子の結合配列により様々な構造を持つことが可能であり、さらに分子が集団として組織を作ることによって多彩な特性をもつ物質が形成可能となる。現在我々は、これらの物質群の一部を利用しているに過ぎず、今後、この物質から未知の機能を見つけ出し、有用な材料を造ることが求められている。
本センターは、ソフトマターの合成と機能探索により、新しい機能物質を開発して科学と産業に貢献することを目的とする。これを実現するために有機化学、高分子化学、生物化学の研究者が集結して研究拠点を形成し、世界最先端の研究を進める。3分野の連携により機能性有機分子の合成、ソフトマターの形成とそのダイナミクスの解明、高性能バイオマテリアルの開発を行う。

2.研究内容及び期待される研究成果
 ソフトマターの学術的および産業的重要性を念頭に、「有機分子」、「高分子材料」、「生体材料」の3方向からのアプローチにより、機能材料の創製を目指す。具体的な研究内容と期待される成果は以下の通りである。
(1)有機分子の機能創製

  • 新規有機活性種の設計・合成を行い、その特性に基づいた機能性有機分子を開発する。
  • 薄膜や微粒子に組織化できる機能性有機分子を開発し、バルク状態では得られない機能を実現する。
  • 多段階反応の系統的制御により機能性および生理活性をもつ多官能性有機化合物を効率的かつ簡便に合成する手法を開発し、液晶性などの機能を有する新規ソフトマターを構築する。

(2)高分子材料の機能創製

  • 新しいモノマー・マクロマーを用いた立体構造や架橋構造の制御された新構造高分子の開発、ならびに機能性を有する新規高分子材料、それらと無機物質から成るハイブリッド材料の開発を行う。
  • 高分子の吸着状態により粒子・基板の界面特性を変化させ、高分子コンポジットおよびエマルションの分散・安定特性ならびに固体基板上の高分子薄膜の熱的安定性や複合高分子の相分離ダイナミクスを解明する。

(3)生体材料の機能創製

  • 少数の組換えタンパク質を脂質二分子膜に埋め込んでシグナル伝達機能を再構成した人工細胞膜と立体構造特異的モノクローナル抗体を用いて、膜-膜タンパク質や膜タンパク質同士の相互作用と機能発現との相関を解明する。
  • 細胞や細胞外マトリックス等のソフトマターが形成するniche環境(超微小環境)を模倣した条件下で起こる現象の仕組みを化学的に解明し、普遍化した一般原則を導いて再生医療に活かすことにより、先端医療産業に貢献する。

構成研究者

工学研究科 教授 鳥飼直也(センター長)
工学研究科 教授 八谷 巌
工学研究科 教授 久保雅敬

工学研究科

教授 宮本啓一
工学研究科 教授 湊元幹太
地域イノベーション学研究科 教授 岡崎隆男
工学研究科 准教授 溝田 功
工学研究科 准教授 宇野貴浩
工学研究科 准教授 藤井義久
地域イノベーション推進機構 准教授 平井克幸
工学研究科 助教 晝河政希

センター長

工学研究科 教授 鳥飼 直也

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