リサーチセンターResearch Center
三重大学 初等教育におけるICT利用研究センター
目的
ICTを活用して、小学校の理科や社会科の地形や植生、土地利用に関する教材を開発することを目的とする。
1.研究の背景,ニーズ
初等教育の理科・社会科においては自然事象や人文・社会事象の実地観察が広く行われてきた。しかし実地観察には、森林の樹冠、河川の中州など危険を伴う場所や近づくのが困難な場所での観察が不可能なこと、地上からの観察になるため、視点が限定されること等の制約がある。それを補うため、google Mapなど航空写真を併用することもあるが、航空写真は地層や微地形、樹種による樹冠の違いなどを判読するには解像度が低すぎ、学習のねらいに合致しないことも多い。そこで期待されるのがICTの活用である。たとえばドローンは危険性などの事情のため、接近した観察ができない対象物の撮影や事象のリアルタイムの観察が可能であり、また撮影高度を調節できるため、最適な高度から地形などを撮影することができる。またVRやAR、ドローンを組み合わせると臨場感のある仮想的な体験ができる。ギガスクール事業により児童の一人一台だブレットは実現したが、ICT活用はまだ進んでいない。そこで初等教育におけるICT利用を目的として研究に取り組むものである。
2.研究目的
本研究では、ICTを活用して、小学校の理科や社会科の地形や植生、土地利用に関する教材を開発することを目的とする。まず当面は附属小学校において安濃川を題材とし、川により形成された自然地形と人々の暮らしの関連(6年生理科・自然環境の保全と科学技術の利用)、総合治水(5年生理科・流れる水の働きと土地の変化)についての教材を開発する。
3.研究内容
(1)ドローンを活用した河川地形、河川の流速(ブイを使用して可視化)、河川堆積物についての、河川教育に使用できる動画データベースの構築(雲出川を事例とする)とそれを利用したVR教材の開発
(2)ミニドローンによる画像と児童による地域の方への聞き取りと河川観察を統合した河川マップをウエブ上に構築(安濃川を事例とする)し、それを利用した教材を開発
(3)国交省の河川の想定氾濫データ(データ提供については許諾を得ている)に基づく氾濫シミュレーションとAR(統合現実)を活用した教材(雲出川を事例とする)の開発
4.期待される研究成果
2019、2020年度の実践の成果を受けてさらにドローンによる動画撮影とそのVR化を進めるとともに氾濫シミュレーションとAR(統合現実)を活用した教材(河川としては雲出川を想定)を開発する。また市街地でミニドローンによる画像と児童による地域の方への聞き取りや河川観察を統合した河川マップをウェブ上に構築し、地域学習に役立てる(河川としては安濃川を想定)これらの実践の成果を附属学校の組織する研究会を通じて三県内の小学校教員に示し、ICT活用の可能性について啓発する。以上の活動を通じて三重大学教育学部、三重大学教育学部附属小学校が三重県のICT教育を牽引する役割を果たすことを期する。
センター構成の研究者体制
氏名 | 学部 | ||
主研究者 | 荻原 彰 | 教育学部 | 教授 |
松本金矢 | 教育学部 | 教授 | |
宮岡邦任 | 教育学部 | 教授 | |
橋本有弥 | 教育学部付属小学校 | 教諭 | |
前田昌志 | 教育学部付属小学校 | 教諭 |
センター長
荻原 彰(教育学部教授)