○国立大学法人三重大学ハラスメント等の防止及び対策に関するガイドライン
| (平成19年6月28日第607号) |
|
(Ⅰ ハラスメント等に関する基本的事項)
1 ガイドライン制定の趣旨
このガイドラインは,「国立大学法人三重大学におけるハラスメント等の防止及び対策に関する規程」に基づき,三重大学(以下「本学」といいます。)の構成員に対して,ハラスメント等に関する本学の基本姿勢,相談及び問題解決のための手続等をわかりやすく示したものです。これを広く周知することにより,ハラスメント等防止啓発等の促進等を図ることを目的とします。
2 ハラスメント等に対する基本的態度
(1) 本学の構成員が互いに尊重し,さまざまなハラスメント等による人権侵害を受けることなく,良好な環境で,教育,研究及び就業活動に従事できるよう,ハラスメント等の発生防止に努めるとともに,ハラスメント等が生じた場合には,速やかに被害者の権利を回復するために,適切な対応を行い必要な措置を講じます。
(2) ハラスメント等の防止に関する研修及び広報活動を企画し,実施します。
(3) ハラスメント等に関して安心して相談できる体制を整備するとともに,ハラスメント等の防止及び被害救済対策を実施する体制を整備し,問題の早期発見及び迅速な解決に向けて,必要に応じて適切な調査を行い,その結果に基づいて厳正に対処します。
3 本学の責任と構成員の義務
(1) 学長は,ハラスメント等の防止と対策に関する全学的な施策と対応について責任を負います。
(2) 各学部,各研究科,教育推進・学生支援機構,研究・社会連携統括本部,みえの未来図共創機構,研究基盤推進機構,国際戦略機構,附属図書館,医学部附属病院,各学内共同教育研究施設,保健管理センター及び事務局(監査室を含みます。)(以下「部局等」といいます。)の長は,当該部局等の職員・学生(学部学生・大学院学生・科目等履修生・研究生・公開講座の受講生等本学で教育を受けるすべての者を指します。)・園児・児童・生徒(以下「学生等」といいます。)に対し,ハラスメント等の防止及び排除のために,常に啓発・指導を行い,ハラスメント等に起因する問題が生じた場合には,迅速かつ適切に対応する責任を負います。
(3) 職員を管理監督する立場にある者及び学生等を指導する立場にある者は,ハラスメント等の防止及び排除を行うとともに,ハラスメント等に起因する問題が生じた場合には,必要な措置を迅速かつ適切に講じなければなりません。
(4) 構成員は,互いに他の者を対等な人格と認め,その自由及び権利を尊重するとともに,ハラスメント等のない環境をつくるように努めなければなりません。
個人の尊厳や名誉,プライバシー等の人格,就労環境及び修学環境並びに教育・研究等(以下「就労・修学環境等」という。)を害することとなるハラスメント等をしないよう各人がその発言や言動に十分注意してください。
就労・修学環境等は,構成員の協力の下に形成されるものであることから,本学の構成員として,良好な就労・修学環境等を維持・確立を心掛けてください。
ハラスメント等の被害を防止し,又は深刻なものにしないよう相手に対する明確な意思表示等の行動をためらわずに行ってください。
国立大学法人三重大学におけるハラスメント等の防止及び対策に関する規程や本ガイドラインに従い,ハラスメント等は行ってはいけません。
また,ハラスメント等の事実確認のために設置される調査委員会の調査等には,特別な理由がある場合を除き,協力してください。
4 ガイドラインの対象範囲
(1) このガイドラインは,構成員間並びに構成員及び関係者の間のハラスメント等に適用されます。
(2) このガイドラインにおける「構成員等」は,「構成員」及び「関係者」をいいます。
「構成員」とは,「本学の職員,学生等,名誉教授その他本学において教育,研究,職務,学業等に従事するすべての者」をいいます。「関係者」とは,「学生等の保護者及び関係業者」をいいます。
(3) 卒業,離職その他の事由により構成員等でなくなった者(以下「元構成員等」といいます。)が,構成員又は関係者である間に受けた,現在の構成員によるハラスメント等にも,本ガイドラインは適用されます。
(4) 構成員等の間でハラスメント等が生じた場合,その発生が授業時間外若しくは勤務時間外であるとき,又は学外であるときでも相談できます。インターンシップ,学外での実習,学会活動等教育・研究活動のなかでハラスメント等を受けた場合でも相談できます。
5 ハラスメント等の形態
ハラスメント等とは,広義では人権侵害であり,性別,宗教,社会的出自,人種,民族,国籍,信条,年齢,職業,身体的特徴,セクシュアリティなどの属性,あるいは,広く人格に関する言動等によって,相手に不利益や不快感を与え,その尊厳を傷つけることをいいます。
内容によって,セクシュアル・ハラスメント等,アカデミック・ハラスメント等,パワー・ハラスメント等,妊娠,出産,育児休業,介護休業等に関するハラスメント等,その他のハラスメント等,性暴力等に大別されます。
(1) セクシュアル・ハラスメントについて
一 セクシュアル・ハラスメントとは,一方当事者が他方当事者の意に反する,性的な性質をもつ発言又は行動を行い,これによって他方当事者に身体的若しくは精神的苦痛を与え,又は教育,研究,就業及び修学に関して不利益若しくは損害を与える行為をいいます。
二 性自認や性的指向等を含む,性に関する言動に対する受け止め方には,個人の主観やその立場等により差があります。不快に感じるか否か,許容範囲か否か,また,嫌なことに対し拒絶の意思表示ができるかも,個人によって大きく異なります。セクシュアル・ハラスメントに当たるか否かについては,当該言動をした者の主観的な意図にかかわらず,当該言動の一般的,客観的な意味についての判断及び相手がどう受け止めるかが重視されます。
三 セクシュアル・ハラスメントの形態と例
1) 相手の意に反する性的な誘いかけや性的行為の強要
① 自宅まで送ると何度もしつこく誘う等,執拗又は強引に交際や性的行為を求める。
② 個人指導と称して食事やデートに誘ったり,実技指導と称して不必要に身体に触ったりする等,執拗又は強引に性的な接触や性的な行為を行う。
③ 好意をもった相手に対して執拗にメールや電話をする等のストーカー行為をする。
④ 性的な内容のSNSを送ったり,送るように強要したりする。
2) 一方の当事者の性的な言動に対する他方の当事者である受け手の対応により,教育・研究,就業及び修学に関して利益若しくは不利益を与えること又は優越的な立場を濫用して,意に反する性的な意味をもつ言動をさせること(対価型セクシュアル・ハラスメント)
① 好意的感情を示し,特定の学生等や教職員に対し,学業成績や業務評価において優遇措置を行う。
② 担当教員が「交際を拒絶したらもう指導はしない」等ほのめかす。
3) 教育・研究・就業及び修学の場において行われる性的な意味をもつ言動により,特定又は不特定の者の教育・研究・就業及び修学環境が損なわれたり,そのためにその者の能力の発揮に重大な悪影響が生じたりすること(環境型セクシュアル・ハラスメント)
① 個人の性的な噂を周囲に広める。
② 研究室又は事務室のパソコンのディスプレイに卑猥な画像を表示する。
③ 体型や容姿といった身体的特徴を話題にする等,性的な冗談やからかいをする。
④ 懇親会等で裸になる等の下品な行動をとる。
4) 性別役割意識に基づく差別的言動,又は性自認や性的指向についての差別的言動(ジェンダー・ハラスメント)
① お茶汲みや食事の後片付けは女性のみに担当させ,責任者等の役割は男性のみに担当させる等,性別により教育,研究又は職務内容に差を設ける。
② 「男のくせに根性がない」,「女は使えない」等の性差別的な発言をする。
③ LGBTQであることをカミングアウトした人に対して嫌がらせを行う。
④ 「ホモ」「レズ」「オカマ」など,人格を認めない呼び方をする。
(2) アカデミック・ハラスメントについて
一 アカデミック・ハラスメントとは,教育又は研究上の優越的な立場にある 一方当事者が,その立場又は職務権限を濫用して,劣位にある他方当事者に対して不当な発言又は行動を行い,これによって他方当事者に身体的若しくは精神的苦痛を与え,又は教育,研究,就業及び修学に関して不利益若しくは損害を与える行為をいいます。
二 アカデミック・ハラスメントに当たるか否かについては,教育・研究活動上の優越的な立場にある者の主観的な意図にかかわらず,客観的な判断が重視されます。なお,客観的にみて,教育又は研究上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導等については,アカデミック・ハラスメントには該当しません。
三 アカデミック・ハラスメントの形態
1) 学生等の修学上の権利の侵害や進路(進学・卒業・就職)の妨害
① 特定の学生に対して単位取得の条件を満たしていなくても単位を与える等,成績について適切な基準やルールに基づかない恣意的な評価を行う。
② 学生の論文原稿を受け取ってから数ヶ月経っても添削指導をしない等,必要な教育上の指導を実施しない。
③ 研究指導において正当な理由なく一部の学生を不利に取り扱ったり,逆に有利に取り扱ったりする。
④ 大学卒業後若しくは大学院修了後の進学又は就職について,正当な理由なく本人の自由な意思決定を妨害しようとする。
⑤ 合理的な理由なく奨学金,学術振興会特別研究員等の申請に必要な推薦書を書かない。
⑥ 卒業要件を満たしているにも関わらず,「卒業させない」と言う等,学生を脅す。
2) 研究の妨害
① 達成不可能と考えられる過度な成果を要求する。
② 研究発表活動(論文,学会発表等)を不当に制限したり,当然加わるべき研究チームから正当な理由なく排除したりする。
③ 研究費の使途について不当な制限を加えたり,不合理な配分を行ったりする。また,研究遂行の過程で過度な経済的負担を強いる。
④ 実験若しくは研究のための機器又は設備を理由なく使用させない。
⑤ 特定の研究課題を強制する。
⑥ 正当な理由なく論文著者の削除・追加又は執筆者の順序を変更する。
3) 他の教員に対する教育の妨害
① 正当な理由なく授業を担当させなかったり,本人の同意を得ることなく著しく専門から外れた教育を行わせたりする。
② 執拗に退職を強要する。
4) その他安全配慮義務に反する事項等
① 研究室に早朝から深夜までいること又は泊まりでの実験を強制したり,休日を一切とらせなかったりする。
② 掃除等の研究室内の雑用をある特定の個人に集中してやらせる。
③ 教育研究に関連して,学生や教職員の能力又は人格を否定するような発言をする。
④ 研究室の飲み会等において,暴力を振るったり,飲酒や宴会芸を強要したりする。
⑤ 学生にカラアルバイト(雇用),カラ謝金等の不正行為を強要したり,その事実の守秘を強要したりする。
(3) パワー・ハラスメントについて
一 パワー・ハラスメントとは,職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより,就業環境が害される行為をいいます。
二 パワー・ハラスメントに当たるか否かについては,職務遂行上の優越的な立場にある者の主観的な意図にかかわらず,客観的な判断が重視されます。なお,客観的にみて,業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については,パワー・ハラスメントには該当しません。
① 優越的な関係とは,職務上の地位が上位であるだけでなく,同僚又は部下による言動で,当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており,当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるものや,同僚又は部下からの集団による行為で,これに抵抗又は拒絶することが困難であるものも含みます。
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動とは,社会通念に照らし,当該言動が明らかに業務上必要性がない,又はその態様が相当でないものを指します。
③ 就業環境が害されるとは,当該言動により身体的又は精神的に苦痛を与えられ,就業環境が不快なものとなったため,能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
三 パワー・ハラスメントの形態と例
1) 身体的な攻撃や嫌がらせ
① 殴る,蹴る。
② 物を投げつける。
③ 飲酒を強要する。
2) 精神的な攻撃や嫌がらせ
① 「能力がない」,「あほ」,「バカ」,「やめてしまえ」など人格を否定するような発言をする。
② 「おまえのかわりはいくらでもいる。今すぐ出て行け」と怒鳴る。
③ 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責や,人前で大声での叱責を行う。
④ 業務を遂行する上で必要な情報を故意に伝えない。
⑤ 挨拶をされてもそっぽを向いて無視したり,指示を仰ぐために何度話しかけても無視し続けたりする。
⑥ 相手の能力を否定し,罵倒するような内容のメールを複数の職員宛てに送信する。
3) 人間関係からの切り離し
① 特定の職員に対して同僚が集団で無視をし,職場で孤立させる。
② 正当な理由なく特定の職員のみ意図的に会議や打ち合わせから外す。
4) 過大な要求や過小な要求
① 達成不可能な目標を設定して,達成するよう強要する。
② 業務上不必要な長時間労働を要請したり,休日出勤を強要したりする。
③ 正当な理由なくその能力に見合う業務を割り振らず簡単な業務のみを行わせたり,仕事を与えなかったりする。
5) 個の侵害
① SNS等を含み,職員を職場外でも継続的に監視する,又は監視していると思わせるような事項を告げる。
② 職員の機微な個人情報について,本人の了解を得ずに他の職員に暴露する。
6) その他不適切な業務命令等
① 違法な箇所を発見し報告した者に,記録又はデータを改ざんするように命じる。
② 適切な基準やルールに基づかない恣意的な業績評価や勤務評価を行う。
③ 雇用条件,雇用期間等に関し,雇用契約書等で示される内容とは別の条件を文書,口頭を問わず誓約させる。また,誓約しないことを理由に,採用しない,雇用を更新しない等の不利益な取り扱いをする。
(4) 妊娠,出産,育児休業,介護休業等に関するハラスメントについて
一 妊娠,出産,育児休業,介護休業等に関するハラスメントとは,妊娠若しくは出産したこと又は育児休業,介護休業等の利用に関する一方当事者の言動により,妊娠若しくは出産した他方当事者又は育児休業,介護休業等を申出若しくは取得した他方当事者の教育,研究,就業及び修学環境が害される行為をいいます。
二 妊娠,出産,育児休業,介護休業等に関するハラスメントに当たるか否かについては,当該言動をした者の主観的な意図にかかわらず,客観的な判断が重視されます。また,妊娠の状態や制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものが該当します。なお,業務分担や安全配慮等の観点から,客観的にみて,業務上の必要性に基づく言動によるものは妊娠,出産,育児休業,介護休業等に関するハラスメントには該当しません。
三 妊娠,出産,育児休業,介護休業等に関するハラスメントの形態と例
1) 妊娠,出産,育児,介護等の制度を利用する側への不適切な言動(制度等の利用への嫌がらせ)
① 妊娠・出産に関する制度,育児・介護に関する制度等を利用したいと相談した者に対し,「休みを取るなら辞めてもらう」等,解雇その他不利益な取扱いを示唆する。
② 妊娠・出産に関する制度,育児・介護に関する制度等を利用したことにより,「時短勤務をしている者に任せられる仕事などない」として雑務ばかりさせる等,嫌がらせをする。
2) 妊娠・出産したこと,育児,介護をしていることへの不適切な言動(状態への嫌がらせ)
① 妊娠したことにより,「こんな忙しい時期に妊娠するなんて非常識だ」等繰り返し嫌味を言う。
② 幼い子のいる職員はいつ急に休むかわからないので,本人の意向を確認せず重要な仕事を任せない。
③ これまで複数回雇用更新をしてきたが,妊娠したこと,出産したことに関する言動により,「次回の更新はない」と告げる等,解雇その他不利益な取扱いを示唆する。
④ 育児休業を申し出た男性の教職員に対して,同僚が「お前が休みを取るせいでまわりの人は仕事が増え,迷惑している」と発言する。
⑤ 育児休業を申し出た男性の教職員に対して,上司が「男が育休を取るなんてありえない」等の発言を行う。
(5) その他のハラスメント
一 その他のハラスメントとは,セクシュアル・ハラスメント,アカデミック・ハラスメント,パワー・ハラスメント,妊娠,出産,育児休業,介護休業等に関するハラスメントにはあたらないが,一定の修学・就労上の関係にある大学の構成員が,不適切な言動を行い,これによって相手が,精神的な面を含めて,学業や職務遂行に関連して一定の不利益・損害を被るか,若しくは学業や職務に関連して一定の支障が生じること,またそのようなおそれがあることをいいます。
二 二次加害行為等とは,本学のハラスメント等に関する相談若しくは臨時の対応措置により,又はこれに協力した構成員等に対し,これに起因して,報復若しくは嫌がらせ行為を行い,又は教育,研究,就業及び修学に関して不利益若しくは損害を与える行為をいいます。
三 その他のハラスメントの形態と例
1) モラルハラスメント
① 言葉や態度によって精神的な嫌がらせを行う。
② 人格を否定するような侮辱をする。
③ 会話や連絡を無視する。
④ 仕事上での嫌がらせをする。
⑤ プライベートを過度に詮索・監視する。
⑥ 特定の人を仲間はずれにする。
2) アルコールハラスメント
① 飲酒の強要する。
② 一気飲みを煽ったり,早飲みをさせる。
③ 酔いつぶすことを目的として飲ませたり,飲み会を行う。
④ 相手の体質,体調などを無視して飲酒を強要する。
⑤ 宴会で酒類以外の飲み物を準備しない。
⑥ 飲めないことをからかったり,侮辱する。
⑦ 酔ってからむ,悪ふざけをする。
⑧ 酔って暴言・暴力を行う。
⑨ 酔った勢いで身体的な接触を行う。
⑩ 性的な発言をしたり質問をする。
⑪ 強引に二次会,三次会等に誘い,家に帰らせない。
3) レイシャルハラスメント
① 特定の国籍,人種,民族に属する人に対する偏見や,国籍,人種,民族を理由に嫌がらせや不当な扱いを行う。
② 教員が授業中,授業のテーマとは関係なく特定の国民,人種,民族に対する不当な差別的言動を行う。
③ 留学生の文化的背景を無視して,日本人と同じ基準で振る舞うよう強要する。
④ 特定の国民,人種,民族をからかうジョークを日常的に話す。
⑤ 授業,課外活動,職場において特定の国民,人種,民族を侮蔑する表現を用いる。
4) その他のハラスメント
① 障害のある学生等への合理的な配慮を正当な理由なく行わない。
② 障害のある学生等が合理的な配慮に関して行った不服申立てによる要求を正当な理由なく拒否する。
③ 虚偽のうわさを流したり,怪文書を配布する。
④ プライベートなことに執拗に介入する。
⑤ 上司がSNSで部下に「友だち承認」を暗に強制したりするなどいわゆるソーシャルハラスメントにあたることを行う。
⑥ ネット上で誹謗中傷を行う。
⑦ 本人の許可なくネット上に他人の画像や個人情報を掲載する。
⑧ 身体的,文化的特徴(宗教的慣習などを含む。)を否定,軽視,侮辱,揶揄する。
⑨ 学生や教職員が教職員に対し,何度も繰り返し対応を求めたり,執拗に攻め立てたり,威圧的な言動を繰り返したりする。
(6) 性暴力等について
一 性暴力等とは,次に掲げる行為及びこれらに準ずる行為をいいます。
1) 不同意性交等,不同意わいせつ,性的様態等撮影等の刑法に該当する行為など,意に反する性的な関係の強要等
2) 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(令和3年法律第57号)第2条第3項各号に定める児童生徒性暴力等に該当する行為
二 性暴力等は,年齢,性別にかかわらず起こります。また,身近な人や夫婦・恋人間でも起こります。相手と対等な関係でなかったり,断れない状況であったり,はっきり嫌だと言えない状況で性的な行為があっても,それは本当の同意があったことにはなりません。また,一つの行為に同意をしていても,他の行為にも同意したことにはなりません。同意のない性的な行為は,犯罪となる場合があります。
三 性暴力等の形態と例
1) 同意のない性的行為
① 同意のない状態でボディタッチ,キス,性交等をする。
② 痴漢行為をする。
③ アルコールやレイプドラッグ等の薬物を使用し,抵抗できない状態で性的行為を行う。
④ SNS等を通して性的な被害を与える。
2) 「性的姿態等撮影罪」,「性的映像記録提供等罪」等に該当する行為
3) 「児童生徒性暴力等」に該当する行為
4) 「公然わいせつ」,「わいせつ物頒布等」に該当する行為,盗撮(準備行為含む),迷惑行為防止条例違反行為等
(Ⅱ ハラスメント等の防止及び対策)
6 ハラスメント等の防止及び対策のための措置
本学においては,ハラスメント等の防止及び排除のために,常に啓発・指導を行い,ハラスメント等に起因する問題が生じた場合には,学長及び部局等の長が,次の必要な措置を講じます。
(1) ハラスメント等を未然に防止するために,研修及び啓発活動並びに指導を行います。職員には,その年に行われるいずれかの研修への参加を要請します。なお,研修には,学長が主催するもの及び部局等の長が主催するものがあります。
(2) ハラスメント等が発生するような環境及び慣習を改善します。
(3) ハラスメント等に関する相談窓口を全学に複数設け,相談員を配置します。また,外部の相談窓口を設置します。
なお,相談員及び相談窓口に関することは,国立大学法人三重大学におけるハラスメント等の防止及び対策に関する規程第7条から第10条までに規定されています。
(4) ハラスメント等の防止及び対策を検討,実施するため,三重大学ハラスメント対策委員会(以下「対策委員会」といいます。)を設置します。
(5) ハラスメント等の加害者に対しては,懲戒処分等の必要な措置をとります。
7 対策委員会の役割
対策委員会は,ハラスメント等の防止及び対策等についての全体的方針を立てるとともに,次のような活動を行います。
なお,対策委員会は,学長が指名する理事,学長が指名する副理事又は副学長,各学部又は研究科の長,医学部附属病院長及びハラスメント等に関し専門的知識を有する者若干名の委員をもって組織されています。また,必要に応じて弁護士等の学外の者を特別委員として加えることができます。ハラスメント等に関し専門的知識を有する者の委員の任期は2年です。また,対策委員会委員は,相談員を兼ねることができません。
(1) ハラスメント等を未然に防止するために,研修及び啓発活動を行います。また,ウェブページを開設し,学内に対して恒常的な広報活動を行います。
(2) ハラスメント等が発生するような環境及び慣習を改善するために,また,ハラスメント等に起因する問題に対する必要な措置を審議し,その実施を学長又は部局等の長に要請します。
(3) 相談がなされた場合において,被害を受けたとされる者からの要請があったとき又は相談員からの報告によりハラスメント等に該当するか否かを審議し,事実関係を明らかにする必要があると対策委員会が認めるときは調査委員会を設置し,調査します。
また,調査委員会を設置したときには,直ちにその旨を,被害を受けたとされる者及び加害者とされる者(以下「当事者」といいます。)及び当事者の所属する部局等の長に連絡します。
対策委員会は,相談事案の最終の事実発生の日から3年以内に相談が行われた場合は,ハラスメント等等の防止及び対策を行います。ただし,性暴力等に係る事案であるときは,この限りではありません。
また,対策委員会は,相談事案の最終の事実発生の日から3年以内に相談が行われ,かつ卒業,退職その他の事由により本学の構成員でなくなってから1年以内にハラスメント等等の申立てが行われた場合には,ハラスメント等等の防止及び対策を行います。
(4) 調査委員会からの報告を受けたときは,遅滞なく,ハラスメント等行為の有無について審理し,認定を行います。
(5) ハラスメント等の認定の結果は学長に報告するとともに,速やかに当事者及び当事者の所属する部局等の長に通知します。また,必要に応じて当該ハラスメント等の相談員に対して,審理及び認定結果の要旨を通知します。
(6) 当事者は,当該ハラスメント等の認定の結果に異議がある場合には,認定の結果の通知を受けた日から起算して14日以内に文書により対策委員会委員長に対して異議を申し立てることができます。
(7) ハラスメント等に対する対応及び審理のいかなる段階においても,当事者のいずれかと利害関係のある対策委員会委員が審議等に加わることはありません。
(8) その他ハラスメント等の防止・対策に関する必要な措置及び活動を行います。
8 相談窓口の役割
(1) ハラスメント等に対応するために,相談窓口を全学に複数設け,相談を受け付けます。また,外部窓口を設置し,外部の専任カウンセラーが電話及びウェブページで相談対応します。
(2) 相談員は,相談者の所属部局等にかかわらず,どの相談窓口でも行うことができます。また,相談は,ハラスメント等の被害を受けたとされる者だけでなく,被害を受けたとされる者の代理人,被害を目撃した第三者及び加害者とされる者も行うことができます。
なお,相談は,原則として複数の相談員が対応しますが,相談者が望まない場合には相談者の意向に添います。
(3) 相談員は当該部局等からの推薦に基づき,学長が任命します。相談員の部局等からの推薦に際しては,性別に配慮されます。相談員の任期は,2年とし,再任は妨げません。
(4) 相談員に対しては,定期的に必要な研修を実施します。
(5) 相談員は,相談者の立場に立って相談を受けるとともに,当事者に対する助言等により解決策を示し,相談者の了解のもとに,その相談内容を記録し,対策委員会に報告します。
(6) 相談員が当事者のいずれかと利害関係にあるときは,他の相談員と交代するか,又は当該相談を別の相談窓口に移します。
9 部局等の長による指導・助言による解決
対策委員会委員長は,相談員の報告を踏まえ,事態の推移や当事者の意向等を考慮して,当事者の所属部局等の長へ次に掲げる措置による解決を要請します。
(1) ハラスメント等の被害を受けたとされる者に対して援助,助言を行います。
(2) ハラスメント等の加害者とされる者に対して注意や指導を行います。
(3) 当事者や関係者からの事情聴取の結果に応じて,当事者に対する解決方法の調整を行います。
10 調停による解決
対策委員会は,相談者が当事者間の話合いでの解決を希望した場合や調停による解決が適当であると判断した場合は,調停を行います。
調停員は,当該事案の事実関係の確認,被害を受けたとされる者への援助又は助言,加害者とされる者への注意や指導,当事者の話合いによる和解のあっせん等を行います。
11 調査委員会の役割
(1) 調査委員会は,原則として当事者の所属する部局等を除く部局等の職員3名の委員をもって組織します。ただし,対策委員会が特に必要と認めた場合で,被害を受けたとされる者が同意したときは,当事者の所属する部局等の委員候補者を委員に加えることがあります。
調査委員会委員は,対策委員会があらかじめ指定した調査委員会委員候補者の中から対策委員会が選考し,学長が任命します。調査委員会委員の選考に際しては,性別に配慮されます。
また,必要に応じてハラスメント等に関して専門的な知識を持つ弁護士等の学外の者を調査委員会委員とすることができます。
さらに,必要に応じて,調査及び調査結果に基づく報告書の作成提出を,外部の有識者を調査委員長及び調査委員とする第三者による調査委員会に委任することがあります。
(2) 調査委員会は,申し立てられたハラスメント等に関する事実関係を調査します。また,調査に当たって,当事者及び関係者から事情を聴取します。
(3) 調査委員会は,できる限り速やかに調査を終了し,その結果を遅滞なく対策委員会に報告します。
(4) 調査委員会は,次の場合,委員の交代を行います。
1) 当事者から,委員が調査に当たっての遵守事項のいずれかに違反したとして,委員交代の申出があったとき。
2) 委員が当事者のいずれかと利害関係にあることが明らかになったとき。
3) 委員が不適切な調査活動を行ったとき。
4) その他調査を進めるに当たって,委員の交代が必要と対策委員会が判断したとき。
(5) 調査委員会は,次の場合,調査を中止することがあります。
1) 被害を受けたとされる者が,調査の中止を申し立てたとき。
2) 加害者とされる者が本学の構成員でなくなり,かつ,調査の続行が困難となったとき。
3) 調査開始から相当期間が経過し,これ以上調査を行っても進展が見込めないと判断したとき。
(6) 対策委員会は,次の場合,再調査を命ずることができます。
1) ハラスメント等の認定の結果,当事者から異議申立てがあった場合及び調査開始から相当期間が経過し調査の進展が見込めない場合で,弁護士等の特別委員を加えて審議した結果,再調査が必要であると判断したとき。
2) 調査委員会の報告を受け,その事実関係の調査内容が不十分であると判断したとき。
(7) 対策委員会は,前記6の場合において,従前の調査委員会に再調査を命ずることが適切でないときには,新たに調査委員会を置き,調査を命ずることがあります。
12 臨時の対応措置
(1) 対策委員会委員長は,ハラスメント等に関する相談が行われた時点又は手続の進行中において,ハラスメント等の疑いのある行為が継続しており,かつ,事態が重大で緊急性があると認める場合は,被害を受けたとされる者の了解の上で,所属部局等の長に対し,学長と協議の上,臨時の対応措置勧告を行うことができます。この場合において,「事態が重大で緊急性があると認める場合」とは,次のような場合が考えられます。
1) 被害を受けたとされる者の心身に危害が及んでいるとき又は危害が及ぶことが予想されるとき。
2) 被害を受けたとされる者の修学,就労,教育・研究若しくは課外活動の遂行を妨げる等の支障が生じているとき又は支障が生じることが予想されるとき。
(2) 対策委員会委員長は,必要に応じて,当事者に対し,臨時の対応措置をとることができます。
(3) 所属部局等の長は,臨時の対応措置として,次の各号に掲げる措置を行います。
1) 加害行為の差し止め
2) 被害を受けたとされる者への加害者の接近禁止や教室などへの立ち入り禁止
3) 修学及び就労環境を確保するため,指導教員,授業担当,研究室及び就業場所の変更等の措置
4) その他当該の加害行為から生じる被害を早急に防止するための必要な措置
(4) 臨時の対応措置は,当該行為をハラスメント等として対策委員会が認定する前に行うものであることから,当該措置の妥当性を事後において速やかに検証します。そのため,調査委員会が設置されていない場合には,調査委員会等を設置し,ハラスメント等の疑いのある行為の事実関係の調査を行います。
(5) 臨時の対応措置によりハラスメント等の疑いのある行為が改善され,また,被害を受けたとされる者も当該措置以上の対応を望まない場合は,前項の措置をとらないことがあります。
13 学長及び部局等の長がとるべき措置
(1) 学長及び部局等の長は,次のような措置を行います。
1) 加害者に対してハラスメント等に関する研修を義務づけるとともに,悪質な場合の退学,懲戒解雇等の処分を含め,加害行為の程度に応じた必要な措置
2) 被害者に対する心理的ケアを含む援助措置
3) 再発防止のための授業停止,指導教員の交代,必修単位の代替措置,ゼミ・サークルの活動停止,職場等の環境改善命令等の措置
(2) 学長及び部局等の長は,被害者からの求めに応じ行った措置の内容を被害者に知らせます。
14 プライバシー等の尊重
ハラスメント等に対する相談等に関係した者は,相談者及び相談事案に係る関係者のプライバシー,名誉その他の人権を尊重するとともに,知り得た情報を漏らしません。
15 不利益取扱いの禁止
ハラスメント等に対する申出,調査への協力その他ハラスメント等に関して正当な対応をした者は,そのことをもって不利益な取扱いを受けません。
(Ⅲ ハラスメント等ヘの対処)
16 相談
(1) ハラスメント等にあった場合には,自分一人の力で解決するのは非常に困難なことがあります。それは,決してハラスメント等を受けた側の責任ではありません。本学は,ハラスメント等問題を,力を合わせて解決するために,相談窓口及び調停,調査委員会等,被害者の側に立った制度を設けています。この制度は,被害を受けたとされる者の意思を尊重し,その対応を行うものですから,一人で悩まず安心して利用してください。
(2) 相談は,職員については離職後,学生等については卒業,退学等で学籍を失った後においても行うことができます。
(3) 相談は,いずれの相談窓口でも行うことができます。最も相談しやすいところに相談に行ってください。また,一人で相談に行き難いときには,親しい友人等の付添人(学外者を含みます。)の同伴も認められます。
(4) 相談は,被害者とされる者だけでなく,被害者とされる者の代理人,被害を目撃した第三者も行うことができます。
(5) 相談は面談だけでなく,手紙・電話・電子メールでも行うことができます。また,匿名でも行うことができます。相談員への連絡方法は,パンフレット,ウェブページ等を御覧ください。
(6) 相談に当たっては,ハラスメント等に関する証拠のようなものは必ずしも必要とはしませんが,相談後,調査を円滑に進める等のために,可能であれば加害者とされる者から受けた言動等を記録しておいてください。
(7) 相談窓口での相談は,被害を受けたとされる者の立場を尊重して行われます。被害を受けたとされる者が,今後どのように問題を解決できるかについて相談に応じるとともに,必要な場合には,カウンセリング等の手配も行います。
(8) 相談員は,加害者とされる者又は第三者から事情を聞く場合があります。
(9) 相談員は,相談の開始に当たって,対応する相談員の氏名を相談者に知らせます。相談者は,関係する相談員が当事者と利害関係をもっているときは,相談員の交代又は相談の打切りを求めるとともに,別の相談窓口を利用することができます。
(10) 相談員は,相談者の了解のもとに,相談内容を文書で記録し,相談者の確認を受けた上で,対策委員会に報告します。
17 事実関係の調査
(1) 被害を受けたとされる者からの要請があったとき又は相談員からの報告により対策委員会が必要と認めたときには,調査委員会を設置する等,事実関係の調査を行います。
(2) 調査に当たっては,当事者の名誉・プライバシー,人権に十分配慮し,秘密を厳守します。
(3) 調査の途中で,委員が当事者と利害関係にあることが判明した場合には,当該委員を直ちに交代するとともに,選考手続に基づいて他の委員を補充します。
18 措置
(1) 相談に応じた相談員,調査委員会委員,対策委員会委員及び部局等の長の全関係者は,裁判所の文書提出命令等に応じるほかは,相談で知り得た秘密を漏らすことはありません。
(2) 相談,必要な措置等に関して,相談者を含む関係者のプライバシー又は名誉その他人権を害する行為は,固く禁止されています。
(3) 被害者を含む関係者に対して,相談,必要な措置等を理由とする報復及び不利益な扱いは,固く禁止されています。
(4) 前3項のいずれかに違反して秘密の漏えい,関係者のプライバシー若しくは名誉その他人権を害する行為又は報復若しくは不利益な扱いが行われた場合には,学長は,直ちに必要な調査を行い,懲戒処分等の適切な措置をとります。
(5) ハラスメント等に関する虚偽の申立又は証言は許されません。対策委員会は,虚偽の申立又は虚偽の証言について必要と認めるときは,学長又は部局等の長に対して適切な措置をとるように通知します。
(Ⅳ その他)
19 ガイドラインの見直し
このガイドラインは,必要に応じ適切な見直し及び改定を行います。
附 則
1 このガイドラインは,平成19年6月28日から施行し,平成19年4月1日から適用します。
2 国立大学法人三重大学職員セクシュアル・ハラスメント防止対策ガイドライン(平成16年4月1日制定)は,廃止します。
附 則(平成21年7月30日)
|
|
このガイドラインは,平成21年7月30日から施行する。
附 則(平成22年12月20日)
|
|
このガイドラインは,平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成26年3月27日)
|
|
このガイドラインは,平成26年4月1日から施行する。
附 則(平成28年7月20日)
|
|
このガイドラインは,平成28年7月21日から施行する。
附 則(平成28年10月31日)
|
|
このガイドラインは,平成28年11月1日から施行する。
附 則(平成28年12月22日)
|
|
このガイドラインは,平成29年1月1日から施行する。
附 則(平成29年9月28日なし第607号)
|
|
このガイドラインは,平成29年10月1日から施行する。
附 則(平成30年3月30日なし第607号)
|
|
このガイドラインは,平成30年4月1日から施行する。
附 則(平成30年6月28日なし第607号)
|
|
このガイドラインは,平成30年7月1日から施行する。
附 則(令和3年3月30日)
|
|
このガイドラインは,令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和4年3月24日)
|
|
このガイドラインは,令和4年4月1日から施行する。
附 則(令和4年4月26日)
|
|
このガイドラインは,令和4年4月26日から施行する。
附 則(令和6年3月26日)
|
|
このガイドラインは,令和6年4月1日から施行する。
附 則(令和7年3月26日第607号)
|
|
このガイドラインは,令和7年4月1日から施行する。