人文学部朴 恵淑教授が「第21回日韓国際環境賞」を受賞

2015年11月05日

人文学部の朴 恵淑教授が、毎日新聞社と韓国朝鮮日報共催の「第21回日韓国際環境賞」を受賞し、10月29日(木)、東京文京区のホテル椿山荘において授賞式が開催されました。 

「日韓国際環境賞」とは、1995年、両社の提携及び日韓国交正常化30周年を記念し、世界経済の「成長センター」として発展する東アジアを中心とした地域全体の環境保全と公害防止を図るため、国境を越えて活動する個人・団体を顕彰する目的で創設されたものです。

受賞した朴教授の環境研究や環境教育、環境活動の基となっているのは、日本の4大公害、特に、大気汚染によって生態系が破壊され、多くの犠牲者を出した四日市公害です。

朴教授は、1995年に三重大学人文学部に赴任し、2000年から四日市公害から学ぶ「四日市学」を構築して、その発生メカニズムの究明、生態系への影響、有効な環境政策について、人文社会科学及び自然科学、医学を網羅する学問横断的総合環境学研究を行ってきました。四日市公害発生から半世紀を経て、今年3月に開館した「四日市公害と環境未来館」をプラットホームとして、四日市公害を風化させない、次世代を担う子どもたちへ四日市公害の教訓を伝えるために、ユネスコが推進している持続可能な開発のための教育(ESD)を展開しています。

学内においては「世界に誇れる環境先進大学」として、教職員と学生が一丸となって取り組むISO14001認証取得、エコバッグによる生協やコンビニ(MINISTOP)でのレジ袋ゼロ運動、放置自転車や家電製品のリユース活動、古紙を収集してトイレットペーパーに替えるリサイクル活動の3R活動の成功、創エネ・蓄エネ・省エネからエネルギーマネジメントを行うスマートキャンパスの推進、環境活動にインセンテイブを与えるMIEUポイント制度の運営、持続可能な開発のための教育(ESD)コンソーシアムの推進により、三重大学が環境大臣賞、地球環境大賞文部科学大臣賞、経済産業大臣賞の受賞に多大な貢献をしました。

一方、環境の世紀と言われる21世紀において、経済成長が最も著しい東アジアの日本、韓国、中国、モンゴル、極東ロシアの環境問題、特に、黄砂、酸性雨、PM2.5など越境性大気汚染が深刻な環境問題への対応として、1995年に東アジア大気行動ネットワークを、2002年に東アジア大気/環境行動ネットワーク(AANEA/EANEA)を構築し、大気環境の改善及び国際河川の水質保全、持続可能な開発のための教育(ESD)の国際的展開を積極的に行っています。東アジアの7ヵ国・地域(日本・韓国(北朝鮮)・中国・台湾・モンゴル・極東ロシア)の大学、研究機関、NGO/NPO間の国境を超えた民間レベルの国際環境協力による、大気汚染測定モニタリング、情報交流、ESDの国際共同教育プログラムの開発及び運用による環境意識の向上を図り、各国の環境政策を促し、企業の社会的責任(CSR)を果たせる、地球益のために活動できる地球市民を育てています。

代表的な活動として、2002年のワールドカップ日韓共催に際して「Blue Sky運動」を展開し、日韓の約4万人の子ども、学生、市民などによる大規模な大気汚染測定活動によって、韓国のソウル、釜山、大邱、光州など、日本の横浜、愛知県、三重県、岐阜県を含む伊勢湾岸、大阪の大都市の詳細な大気汚染濃度分布図が作成できたこと、日本の四日市コンビナート周辺及び韓国の麗水国家産業団地の小学生の喘息発症率が他の地域に比べて30%ほど高い疫学的調査は、社会的に大きな反響を呼びました。中国の北東部の吉林省及びモンゴルのウランバトル周辺の鉱山地域注民の健康被害が過去の日本の4大公害の複合型として顕在することを調査、発表しました。また、2005年からは、中国と北朝鮮との国際河川の豆満江及び極東ロシアハバロフスクのアムール川において、水質調査モニタリングを行っています。さらに、2014年のESDユネスコ世界会議のパートナーシップ事業として行われた、「ESD in 三重」において、世界19ヵ国から210名の中高大学生が三重大学に集まり、ESDユース宣言を行い、国際ESDユースネットワークを構築、運営できるようになりました。

朴教授のこのような業績が認められ、今回の「第21回日韓国際環境賞」受賞となりました。

授賞式では、賞状と楯が毎日新聞社の朝比奈豊社長から朴教授へ授与されました。受賞時の挨拶において朴教授は「公害を過去の負の遺産ととらえるのではなく、その経験を未来の地域づくりに生かすことが大切」と述べ、今後の研究や社会貢献活動に対して気持ちを新たにされました。

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