三重大学 産業・社会インフラ施設安全技術研究センター 【認定期間終了】
Research Center of Security Technology for Industry and Social Infrastructure

研究概要

「産業・社会インフラ施設安全技術研究センター」では、工業・農業生産分野、社会インフラ施設分野において、メンテナンス工学、診断工学、安全工学、信頼性工学、計測工学及び情報工学などに基づいた「安全技術」の基礎研究を行うと共に、産学官連携により安全技術の実用化に関する応用研究も行う。

三重大学産業・社会インフラ施設安全技術研究センター 概要

平成21年9月1日

「三重大学産業・社会インフラ施設安全技術研究センター」について

1.研究の背景及びニーズ、目的

産業・社会インフラ施設安全技術に関する研究の重要性を裏付ける社会的な背景は次のとおりである。

(1)

重大事故の防止 生産プラントや社会インフラ施設などの重要設備の事故は,その経済損失や人命損失が重大だけでなく,時には地球環境にも悪影響をもたらす。日本では、特に60,70年代の経済高度成長期に作られた多くの生産プラントや社会インフラ施設(トンネル、橋梁、ダムなど)は、実質の耐用寿命が50年と言われ、今後、安全・安心を確保すると共にこれらの膨大な社会資産を維持・使用していくためには、安全技術は不可欠である。

(2)

地球環境問題への対応 20世紀における大量生産・大量消費・大量廃棄という社会システムは、さまざまな地球規模の環境問題をもたらした。21世紀の社会は、地球環境問題を無視しては成立しない。従って、省エネルギー、省資源のために、設備の延命化、リサイクルおよびリユースが提唱されているが、安全技術により安全・安心を確保したうえでの設備の延命化、リサイクルおよびリユースは言うまでもない重要なことである。

(3)

生産効率と品質の確保 近代の産業を取り巻く環境は,ユーザニーズの多様化などにより変動する市場,製品の信頼性と品質及び価額に対する厳しい要求,及び生産(特に事故)による自然環境破壊の防止などで特徴づけられている。設備診断技術は安全技術の中核技術であり、あらゆる状況下において生産設備の機能を最小の保全費用で最高な安全水準と効率を維持させる役割を果たす。
 しかし、日本は、産業・社会インフラ施設安全技術に関する研究と専門教育の体制がヨーロッパやアメリカに比べ遅れている。例えば、イギリスのマンチェスター大学には「システム状態監視・診断工学部・研究科」があり、設備安全技術の研究と人材教育を精力的に行われている。アメリカの10数大学に産業・社会インフラ施設安全に関わるメンテナンス技術や設備診断技術に関する教育研究機関がある。
 日本には、産業・社会基盤となる施設・設備・機器を対象とした安全技術(メンテナンス技術や設備診断技術)に関して、体系づけられた教育カリキュラム及び研究体制を持っている大学がない。
   以上により、社会ニーズに呼応し、三重大学の特色を出すために、「産業・社会インフラ施設安全技術研究センター(Research Center of Security Technology for Industry and Social Infrastructure)」を設立した。

2.研究組織

(1)センター長
   陳山 鵬(生物資源学研究科 教授)
(2)首席研究員
   佐藤邦夫(生物資源学研究科 教授)
   鬼頭孝治(生物資源学研究科 准教授)
   石黒  覚(生物資源学研究科 教授)
   森尾吉成(生物資源学研究科 准教授)
   陳山  鵬(生物資源学研究科 教授)
   鈴木泰之(工学研究科      教授)
   池浦良淳(工学研究科      教授)
   丸山直樹(工学研究科      准教授)
   久保雅敬(地域イノベーション研究科 教授)
(3)客員研究員
   李 可  (中国江南大学    副教授)
(4)顧問
   加藤征三(学長特別補佐   三重大学名誉教授)
   水谷一樹(三重大学名誉教授)

3.研究内容

「産業・社会インフラ施設安全技術研究センター」の研究内容は、工業・農業生産分野、社会インフラ施設分野において、メンテナンス工学、診断工学、安全工学、信頼性工学、計測工学及び情報工学などに基づいた「安全技術」の基礎研究を行うと共に、産学官連携(三重大学、四日市コンビナート企業、三重県の関連企業・団体、三重県、四日市市など)により安全基礎技術の実用化及び応用研究も行う。具体的な研究内容は下記の通りである。

(1)

対象設備や施設の状態情報を最適に検出する先端計測技術の研究

(2)

対象設備や施設の状態を効率的かつ自動的に識別するための先端診断工学の研究

(3)

地球環境時代におけるメンテナンス戦略、最適保全政策の意思決定法、寿命予測技術および保全性・信頼性に関する研究

(4)

現場の大量の保全・診断に関する情報を短時間かつ最精度で処理するために,設備診断技術・AI技術・情報収集と処理技術が有機的に結合した知的診断情報システムを構築する基礎技術の研究

(5)

メンテナンス技術、設備診断技術、情報処理技術及び電子技術を用いて、高性能、高精度及び操作・携帯便利な知的状態監視・診断装置及びシステムの開発研究。

(6)

設備メンテナンス及び設備診断の自動化,知能化,効率化を目指し,更に無人工場や人間の接近不可能な極限環境における設備の点検・保守・診断を行うために,設備異常の早期発見および早期対応を可能とする次世代メンテナンスロボットの基礎・応用研究
   本研究センターで得られる研究成果は,産業・社会インフラ施設の安全・安心に資すること、生産・保全コストの削減により産業の競争力を高めること、設備や施設の正常状態の維持によりエネルギーの浪費を防ぐことが期待される。

4.活動状況

(1)

「四日市コンビナート産官学連携会議」に参加し、四日市消防本部や関連企業と連携して、保安・防災のための新ハード/ソフトのシステム技術開発を目指した検討をしている。
すなわち、「産業・社会インフラ施設安全技術研究センター」の構成員らが持つ技術シーズを共同研究等へ結び付けようという目的として、設備健全性診断技術、先端メンテナンス技術の研究開発について産官学連携会議で検討し、今後具体的なプロジェクト・テーマを絞り込み、外部資金の獲得をミッションに活動を継続している。

(2)

生産設備の安全性、信頼性、保全性に関して、多くの関連企業との共同研究や共同検討を行い、一部の企業と共同研究や委託研究の契約も結んでいる。

(3)

東海地域の国営農業水利施設を対象として、それらの機能診断などに関する技術検討委員会に参加して活動してきた。

センター長

生物資源学研究科 教授 陳山 鵬

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