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「多文化共生を支援するワークプレイスの課題を探る:接触場面における情報共有とリスク回避のためのコミュニケーション行動調査」(継続)

【活動の概要】
1.本活動の背景,必要性,目的
近年、医療現場や企業活動などで、異なる職種や技能をもつ人々の間で生じる誤解の原因解明のため、情報共有やリスク回避のためのコミュニケーション活動の研究が進められているという背景がある。三重県の養鶏場経営という地域産業を支える現場においても、外国人労働者を雇用することで生じる摩擦にどう対応するかが課題となっている。昨年度実施した調査では、外国人研修生を雇用することで生じるさまざまな摩擦の要因は、研修生の日本語コミュニケーション能力だけではなく、雇用者と研修生双方の情報伝達方法や異文化の受容、そして地域との関わり方に問題があることが明らかになってきた。これをふまえ、お互いが直面している多くの摩擦やストレスを避けるための情報共有とリスク回避の手立てをコミュニケーションレベルで分析、考察し、地域の多文化共生を支援する必要性がある。
したがって、本活動の目的は、前年度に引き続き、地域のワークプレイス、とくに協働作業現場で、母語が日本語ではない外国人が日本人との接触場面で直面する言語行動を調査し、情報共有とリスク回避のためのコミュニケーション・スキルを明らかにし、多文化共生を支援することである。
2.活動内容
前年度、共同実施者、作業従事者へのインタビュー調査を異なる形態で2回実施したが、26年度はそのデータについての詳細な分析をおこなう。すでに収録したビデオデータから必要な対話場面を抽出し、対話内容を転記テキストに起こし、分析のためのデータ構築をおこなう。同時に、新渡日の研修生を含む非母語話者との協働作業の過程と接触場面について、その具体的な言語的・非言語的やりとりをビデオ収録し、分析する。また、地域との関わりが研修生に与える影響について、イベント参加等を通して考察する。実施者間で活動経過を打ち合わせ、報告を適宜おこない、活動成果をまとめる。

→平成26年度活動状況報告書