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遊休農地を活用した体験農園の開設による食育及び産消連携の推進

【活動の概要】
①背景
本活動は、人文学部社会動態研究センターにおいて2008年度から行ってきた研究プロジェクト「都市近郊団地における高齢者世帯の日常生活支援―産消連携による農産物直売システムの構築に関する研究」の成果をふまえたものである。同プロジェクトでは、都市近郊農地の有効活用と産消連携の推進をテーマに、津市渋見町の生産者と交流を深め、学習会等を実施してきた。本活動は、人文学部の教員と渋見町の生産者とが産消連携の方策を話し合うなかで出されたアイデアを具体化したものである。
②本活動の必要性
後継者不足と高齢化の進展により、農業の担い手不足が深刻化し、農地の遊休化や転用による耕地面積の減少が続いている。既存の農地を維持・存続させ、食料自給率を向上させるためには、食育や生産者との交流を通じた消費者の意識の向上が不可欠であり、また生産者にとっても、消費者との交流は営農意欲の継続や、直売、加工品の製造といった新たな活動への契機となりうる。本学がこうした取り組みの発展に寄与できれば、地域活性化に対する大学の地域貢献としてすぐれた成果になりうると考える。
③本活動の目的
本活動は、人文学部法律経済学科の教員と津市渋見町の農家とが共同で実施するもので、渋見町内の遊休農地を活用して、主に近隣の保育園・幼稚園児が農業体験を行う体験農園を開設・運営するものである。本活動の目的は、実際の農業体験を通じて保育園児や幼稚園児に日本の農業や食文化についての理解を深めてもらう(=食育)と同時に、園児と農家、さらには園児の保護者と農家との交流を図ることで、生産者と消費者との連携(産消連携)を促進することにある。
④活動内容
2010年度に渋見町内の遊休農地3反(約3000㎡)のうち5畝(約500㎡)を「渋見ふれあい農園」として整備し、津市内の「さつき保育園」を利用者として始まった本活動は、2011年度には新たに「安東幼稚園」を利用者に加えるなど、順調に発展しつつある。とくに幼稚園が加わったことで、園児の保護者が農業体験に参加することが可能になり、園児と生産者のみならず、保護者と生産者との交流が生まれたことは、産消連携を展望する本事業にとって重要な契機である。
昨年度作付けした品目はジャガイモ、サトイモ、サツマイモなどの芋類で、日常的な管理は渋見町の農家の方々が担当し、サツマイモの苗の植え付け体験と、ジャガイモ、サツマイモの収穫体験を園児および保護者が行った。収穫体験の際には、準備作業に保育士・教諭や園児の保護者らも協力するなど、生産者と消費者との交流が促進された。
また、本事業は渋見自治会の「サロン事業」の一環として行われており、体験農園の管理や収穫イベントは渋見町老人会のレクリエーションとしても位置づけられている。体験農園での園児とのふれあいは、高齢者の健康増進という点でも積極的な意義を有している。

→ 平成25年度活動状況報告書