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小学校における多文化共生教育の実践

 本活動は、小学校児童を対象としたクラブ活動を通し、児童に対する多文化共生教育を目指す活動です。平成20年度に一身田小学校で立ち上げた「世界を結ぼうクラブ」を活動の場とし、子どもたちが多文化共生について考える教育の実践を目的としています。本年度はクラブ活動も2年目に入り、活動内容をより充実したものに発展していきたいです。一身田小学校には流動的ではありますが、常に30名前後の外国籍児童が在籍しています。そのため、各学年に数人の外国籍児童が在籍しており、日本の児童も彼らの存在を認識しています。しかし、日本の児童・外国籍児童が共に「多文化共生」という意識が持てているかは疑問です。実際に多くの学校現場には「見た目の違い」「国籍の違い」などをきっかけとした差別も少なからず存在しています。そこで、授業のように一方的に教員が教えるのではなく、クラブでの様々な活動を通して、多文化共生という感覚を自然に身に付けてもらいたいと考え、開設されたのが「世界を結ぼうクラブ」です。クラブは、日本の児童と外国籍の児童が共に共存する空間であり、国籍に関係なく、児童が積極的に活動に参加し、そして、活動を通し様々な文化を知り、認め合い、対等な友達関係を作りあげることを最終目標としています。クラブには、4年生~6年生の児童が国籍を問わず20名程度が参加予定であります。活動は基本的に月1回設けられ、5月~2月にかけて計8回行われます。実際のクラブ実施担当は小学校教諭(日本人教諭とブラジル人講師)が担当します。大学教員も活動内容を考える時点から参加し、実際のクラブ活動時間には学生と共に、児童の活動に対し補助的な立場で参加します。このような活動は、総務省の「多文化共生推進プログラム」で定義されている多文化共生の考え方(「国籍や民族など異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」)へとつながるものであります。将来子どもたちが大人になった際、「多文化共生」を意識せずに、皆で共に生きる社会作りを目指すためにも、必要な教育的活動であるでしょう。また、本年度の活動終了後には、活動内容を報告書等の形式で発表し、小学校における多文化共生教育の有効な活動として提示していく予定です。

平成21年度活動報告書