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松阪市の「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」における受入促進モデル校での多文化理解推進

 本申請は、人文学部の教員と松阪市教育委員会が協働し、「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」のモデル校(以下センター校)を主な活動場所として、多文化理解を推進することを目的としています。松阪市の公立小中学校では、ここ数年南米やアジア出身の子どもたちの入学・転入が目立つようになりました。教育委員会は日本語指導のための初期適応教室を1か所開設しており、彼らは3~4か月かけて日本語を身につけます。その後、初期適応教室を修了した者は、各学校で日本人の児童生徒と机をならべて学ぶことになります。中でもセンター校には、外国出身者が多く在籍しています。外国から来た子どもたちが日本で新しい環境に適応するには、本人の努力や日本語の支援に加え、受入側の学校が多様な文化に開かれていることが不可欠です。とくに、学級担任やクラスメートが多文化理解教育により視野を広げ、異なる文化・言語に進んで接すれば、相互理解へのきっかげが生まれ、将来日本に定住する子どもたちにとって大きな励ましになるでしょう。
 そこで、今年度から、地域のニーズに合わせて松阪市に出向き、三重大学が取り組んでいる多文化理解に関わる授業、研究、学生ボランティアの成果をもとにした貢献活動を行います。まず大学の前後期を通じ、江成幸、藤本久司、森正人の各教員が、PBLセミナーおよび人文学部専門科目の一環として、多文化理解ないし多文化研究の授業を行います。授業以外では、外国出身の子どもの勉強をサポートする学生ボランティアを教員がバックアップし、松阪市での活動に協力してもらいます。夏期休業を利用して、松阪市での活動を本格的に開始します。センター校教員など教育関係者をはじめ、外国人支援に携わる学生・市民に参加を呼びかけ、実践報告のパネルトークと、外部講師を招いたワークショップを開催します。外国人を受け入れる際の対応方法や異文化コミュニケーションについて共有し、実践に役立てることが目的です。地元での開催により、参加者同士のネットワークを構築する機会にもなると期待しています。年度後半には、三重大学教員と学生有志により、センター校の小中学生向けに多文化理解教育を実施します。大学の授業で制作した多文化共生に関するドキュメンタリーやパネル展示を持参し、身近な地域に外国から来た人々が共存していることをわかりやすく説明します。地域リーダー的な経験を通して、学生自身も理解を深めるメリットがあります。年度末には、報告会にて活動の評価を行います。なお本申請は、平成19年度、20年度の三重大学教育GP「チャンス事業」での地域貢献活動を発展させたものです。

平成21年度活動報告書

活動状況(画像)