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風力発電を題材とした小中学生のための環境体験学習

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的
本活動は,当研究室が,1999年度JSPSふれあいサイエンスプログラムにおいて「おもしろゼミナール・遊びながら学ぶ風車発電(小中高生向け)」として採択されたことを契機として,以後,地元の小中高校や進学塾あるいは自治体と連携して,当研究室の教員と大学生・大学院生が夏季休暇中に継続的に行っている活動である.毎年参加者からは好評であり,「三重大学」の名前が陽に地域に示された方がよいと考えて以前から地域貢献活動事業に応募し採択されている.また,中部電力にも包括協定の枠組み中で環境学習プログラム開発の一環として参画していただいている.
本活動の必要性としては,本学で実施される数々のイベントがあるものの,三重大学の研究シーズを直接参加者に伝えることができる行事は限られているため,教員や大学生・大学院生が一体となって三重大学の良さを地域に知っていただく必要があると考えている.本活動は,地元の学校や進学塾の先生方から「子ども達に本物の技術や大学の研究に触れさせることにより学習意欲の向上や将来の進路について考えさせる機会を提供してもらいたい」,「地元の雄である三重大学の教員や大学生・大学院生とキャンパス内で直接触れ合うことにより早い時期から大学というものを意識して勉強に対するモチベーションを高めたい」という地域からの要望があり,それに応えるために地域貢献として実施している.
本活動の目的は,風力発電という環境に関連した技術を通して,小中学生に理科系の体験学習を行うことにある.環境意識は大人になってから植え付けられるものではなく子どもの頃から自然に身につけることが大切であるが,子どもには具体的な事例や体験がないとなかなか受け入れてもらえない.その点では風力発電は目に見えて感じられる環境技術であるために環境意識の必要性を説明しやすいものであり,子ども達の環境意識向上には最適な題材であると考えている.

2.活動内容
活動内容としては当研究室のシーズである風力発電を題材として次の内容で実施する.
1.自然エネルギーに関する模擬授業
2.風力発電に関する模擬授業
3.小形風車の仕組みの説明
4.小形風車の組立体験学習
5.小形風車を発電して蓄電
6.人力による発電体験
7.大学の学食で昼食
8.蓄電した電力により電動式カキ氷機でカキ氷を試食
これら一連の内容の中で重要なことは,小形風車を用いて実際に発電することである.風力発電の体験学習は多くの機関で実施されているが,いずれも「風車の羽根を回す」というところで終わっており発電までには至っていない.環境とエネルギーは密接な関係にあり,風力発電もエネルギーを発生することに重要な意義がある.当研究室で行っている体験学習では小形風車によって実際に電力を発生させ,その得られた電力をカキ氷機によって消費することまで実施する.また,中部電力には「1.自然エネルギーに関する模擬授業」および「6.人力による発電体験」を担当してもらい,発電原理や電力消費を平易に参加者に解説していただいている.子ども達にとっては,夏の暑い日の模擬授業やカキ氷を思い出として,風力発電,エネルギー,環境,三重大学を連想してもらえれば,将来を担う子ども達のエネルギー・環境の導入教育として有意義であると考えている.
参加者の募集については,過去に広く小中学校に直接参加を呼びかけたことにより,参加者が特定の学校に偏ったり,また,受け入れ人数を大幅に超えた応募があり調整が困難な状況に陥ったことがある.そのため,最近は比較的広域で少人数ずつ参加者を集めることができる学習塾に協力してもらっており,今年度は,従来の三重私塾の会から規模を大きくして全国学習塾協会の三重県ご担当に協力していただき,より広範囲の参加者を募集する.また,中部電力には必要経費のほとんどを負担してもらうとともに環境学習に関するプログラムを当研究室とともに開発する.

→ 平成26年度活動状況報告書