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30_地域に根ざした人的並びに生物的資源の有効活用 -大台町の地域観光施設を中心拠点とした健康長寿対策に関わる人材育成・再教育の支援-

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

現在,我が国には「地方創生(地域の再生)をどのように図っていくのか」という国家的課題が目の前にあるが,一般社団法人奥伊勢バイオサイエンスセンター(奥伊勢BSC http://okuise-bsc.com/)の関係者は,今回提案する取り組みを通して,地域の再生に少しでも貢献できるようにしていきたいという想いがある。

本提案の活動の中心地域となる大台町は,三重県の南部にある小規模一次産業中心の中山間地域である。そして,高齢化が顕著で,地域に対応した社会の構造,社会の保障の在り方を検討していくことが必要な地域である。上記のような状況を鑑み,本提案は,産学官参画型の地域人材育成支援手法の提案と実践による先導的モデルの例示を目的とする。この提案で行う取組は,大学等の研究者の研究活動成果を地域の抱える課題の打開に活用するための橋渡しをするとともに地域で活動する人材の育成・再教育とその人材が中心となった新たなプロジェクトの創出に繋がると確信する。

2.活動する地域と内容

奥伊勢BSCは三重大学地域研究支援部門ならびに地域イノベーション学研究科との共催で,H24(2014)年から,大台町にある奥伊勢フォレストピアにおいて「健康科学の基盤となる資源とその有効活用」をテーマとして,フォラム(奥伊勢Forum)を毎年開催してきている。したがって,活動する中心地域は大台町である。奥伊勢Forumの目的の一つは,多分野の人材との相互交流・連携を通しての人材育成・再教育にある。大台町は高齢者の健康福祉対策が健康長寿社会を実現する上での課題となっている。こういった地域の事情と奥伊勢BSCの活動とが融合し,H28年10月に開催した,第5回奥伊勢Forumにおいて,大台町と連携してワークショップ『運動と食で脳を整える』を実施した。このワークショップを契機に,大台町との活動は「ヘルスツーリズ構想」へと集約されつつある(http://okuise-bsc.com/archives/13792/)。そのような状況から,大台町内で,高齢者福祉に従事する自治体・介護施設の職員,或は,高齢者の健康対策に興味を持つ方々を主な対象者として,奥伊勢BSC関係者が講師となり,或いは,奥伊勢BSC関係者の持つ様々な人脈を活用し,高度な専門知識・経験を有する方々を招聘し,ワークショップ等を企画・実施することで,より具体的な地域課題の対策を見出すとともに,それに関わる地域人材の育成・再教育を行う。

3.期待される活動成果等

本活動で実施する人材育成支援は,持続可能な地域社会を構築するための有効な取組であり,地域社会の活性化にも大いに貢献できる。また,同様の課題を持つ中山間地域の活性化を考える上で重要な示唆が得られ,全国の遠隔地域の長寿者の健康対策問題の解決のための共通した一つのモデルとなる。さらに,このような取組みは,地元住民(自治体職員,生産者,地域事業者等)の事業活動の修得の『場』ともなる。また,三重大学地域イノベーション学研究科が推進している「地域の抱える課題の理解とその解決方法の考察」をテーマとしたOn the Project Training (OPT)形式による実践教育の『場』としても活用できる。

平成30年度活動状況報告書