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29_三重県のセルロースナノファイバー(CNF)事業の活性化支援(継続2年目)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

「日本再興戦略」改訂2015(2015年6月30日に閣議決定)に,森林資源活用,林業再生,新産業創生の起爆剤として,セルロースナノファイバー(Cellulose Nano-Fiber: CNF)の研究開発およびマテリアル利用への取組の推進が明記された。政府は,全国でCNF事業を活性化するため,地方拠点の構築を求めている。

三重県は,三重県工業研究所と三重県産業支援センターが,平成27年度環境省「地域における低炭素なセルロースナノファイバー用途開発FS委託業務」に採択され(採択3件,他は岡山県,静岡県),CNF事業のモデル地域として期待されている一方,県内に大学が少なく,事業を支える「学」にウィークポイントがある。三重大学内で,紙・パルプ,セルロース繊維,CNFの研究者は申請者のみで,学の立場で三重県のCNF事業の活性化を支える必要がある。

平成28年度は,三重大学地域貢献事業支援助成を活用して,分かりやすい試作品・ポスター類を製作し,三重県・三重大学のCNF事業を県内,国内にて周知・アピールすべく,数々の産業展やフォーラム等で講演・展示活動等を精力的に行った。また共同実施者の三重県工業研究所が「みえセルロースナノファイバー協議会」の他に,クローズドな「CNF情報交換会」を立ち上げ,申請者が県内有識者として参画することにより,県内企業のシーズ・ニーズを聴き,製品開発の課題や実現性について議論する産官学体制が整ってきたところである。

そこで平成29年度は,同様の講演・展示活動を継続しつつ,有識者として県内企業に対して専門的知見に基づいたアドバイス,CNFに関する知識,実験技法,分析技術の提供などを通して,三重県のCNF事業の活性化支援を行うことを目的とする。また県内森林関係者に対しても,既存の用途(柱,紙パルプ,板,キノコ原木,発電用チップなど)以外の新しい取り組みがある旨,啓蒙する活動を推進する。

2.活動する地域と内容

【活動する地域】

  • 三重大学
  • セルロースナノファイバー(CNF)の利用を検討する工業地域
  • 木材の新たな用途を模索する森林山村地域

【内容】

  1. 三重県・三重大学のCNF事業をアピールするために,産業展やナノセルロースフォーラム等での講演・展示活動等を活発化する。
  2. 申請者が有する木材,セルロース繊維,CNFに関する専門的知識,技術に基づいた県内企業に対する技術的アドバイス,技術相談窓口の創設。
  3. 三重県工業研究所,三重大学間で,随時ミーティングを開催し,三重県が有するCNF研究技術シーズについて密に意見交換する。両機関が有する分析機器,実験技術に関する情報を共有し,CNF研究の互助体制を確立するとともに,県内希望者が利用できるCNF技術・分析ネットワークへと発展させる。

3.期待される活動成果等

  ―講演・展示活動を通じた三重県・三重大学CNF事業の政府へのアピール。
  ―知識技術等提供,コンサルティングによる三重県内事業者に対する地域貢献。
  ―三重県内事業者からのCNF関連シーズの発掘。
  ―三重県内のCNF事業ネットワークの構築。

平成29年度活動状況報告書