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29_東紀州におけるICTを援用した科学的柑橘栽培支援

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

【背景】平成20年度技術革新波及対策事業高品質かんきつ安定生産技術導入事業、平成21~22年度研究成果実用化促進事業(農林水産省補助事業)事業(農林水産省補助事業)で、熊野市金山パイロット事業(農林水産省補助事業)「高品質ミカン生産のためのフィールドサーバ利用技術の確立」を三重県紀州地域農業改良普及センター、三重県農業研究所紀南果樹研究室、JA三重南紀と共同で熊野市金山パイロットを実証区として実施すると共に、これをきっかけに現在も東紀州地域の高品質ミカン生産を目的として普及活動を行っている。昨年度は、3月2日(木)に三重県熊野農林事務所・紀州地域農業改良普及センターと共同で、三重県農業研究所・紀南果樹研究室・研修室に柑橘農家を招いて、「科学的柑橘栽培を支援する光センシング・AI・ICT研究フォーラム」を開催し、蛍光X線分光計測装置、色素蛍光計測装置、中赤外分光計測装置、色彩画像計測装置と土壌水分センサーの概要、測定対象および使用方法について実機を用いた柑橘樹体の健康診断に関する説明を行うなど、最新の計測技術の普及活動を行った。

【必要性】ICTを用いた科学的栽培の普及のためには、共同で開発した低価格土壌水分センサのセンサーネットワーク化、および昨年度のフォーラムで詳しく紹介したミカン樹体の光センシング技術の栽培体系への組み込みといった「ICTを用いた科学的栽培の普及」の継続的な普及活動が不可欠である。特に、昨年度のフォーラムに参加した熊野市の若いミカン農家の期待に応えるためには、金山パイロットでのセンサーネットワーク設置作業、光センシングの技術実習を伴う普及活動など、現場に出向いての現地活動が不可欠である。

【目的】本年度は、一作年度の三重大学地域貢献事業支援助成を受けて開発した土壌水分センサーのセンサーネットワーク化とセンサーネットワークの金山パイロット(熊野市)での設置作業、金山パイロットをワークショップの現場とする東紀州地域の若手ミカン農家に対するミカン樹体の光センシング技術の実習を伴う普及活動を行う予定である。

2.活動内容

三重大学メンバーが現地に赴き、共同開発済みの土壌水分センサーと鳥羽商船が開発した気象ステーションをセンサーネットワークとして熊野市の金山パイロットに設置する。あわせて、気象ステーションのセンサーネットワークを用いたwebサービスを開発しつつ、昨年度実施したフォーラム以来、東紀州の若手ミカン農家の間で期待が高まっているミカン樹体計測用の蛍光X線分光装置、色素蛍光分光装置、色彩補正カメラシステム、赤外分光計測システムなど光計測機器を用いて実証試験を実施する。あわせて、現地で農業ICTの普及活動を行う。

3.期待される活動成果等 

  日本で最初に導入された農業用センサーネットワークを、本活動により、鳥羽商船が開発した気象ステーションと熊野農林事務所と共同開発した低価格土壌水分センサーを核とする新たなセンサーネットワークに置き換えることが可能となる。また、本活動により、三重大学の本研究室がリードしている光センシング技術が柑橘栽培に用いられることに成り、国ベースで農業ICTの利活用の画期的な事例を提供することになる。

平成29年度活動状況報告書