clear
29_人生経験のもつ強みを「聞き書き」を通して発見しよう

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

厚生労働省は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう地域包括ケアシステムの構築を推進している。また、日本の総死亡数は年々上昇を続けており、多様な居住の場での在宅ケアと在宅看取りの充実が求められている。そのような中、2017年3月、伊勢市に多様な居住の場の一つとして現在注目されている「ホームホスピス」が三重県内で初めて創設された。このような動きのある時だからこそ、改めて人生の最終章を生きる「高齢者の尊厳の保持」を地域ぐるみで実践していく必要があると考える。

高齢者は医療や介護の受け手になりやすく、保護される対象として捉えられやすい。しかし、様々な時代、出来事を生き抜いてきた豊富な知識と経験をもっている人々である。「聞き書き」は、語り手の語りたい話を聞き、その人の話し言葉で書いて、活字にして後世に残すことである。高齢者に教わり、高齢者に学ぶことが基盤にあるため、聞き書きをする担い手は、語り手である高齢者の語りの中に様々な発見をすることができる。高齢者は、個々人の歩んできた人生を振り返り、自分の強みを存分に発揮し、冊子として後世に残すことができる。このように「聞き書き」は、語り手になる高齢者に出会えたことを感謝し、高齢者の強みを見出し引き出し支えることができるため、尊厳の保持に貢献できるツールである。

人生の最終章の時期を生きる人だからこそ語れること、教えたいこと、後世に残したいことがある。高齢者を含めて人生の最終章の時期を生きる人は、人生統合のニーズをもっている。「聞き書き」はこのニーズをも充足させるものである。

そこで、本活動の目的は、伊勢の「ホームホスピス」の2階を借りて、一般市民を対象に「聞き書き」の良さを広め、聞き書き技術を身に付けてもらい、聞き書きの担い手をつくることである。

2.活動する地域と内容

活動する地域:三重県伊勢市岡本
活動内容:伊勢のホームホスピスの2階で聞き書き講座を3回連続で開催し、今後、伊勢の地で「聞き書き」が根付いていくための支援をする。

第1回目「人生経験のもつ強みを「聞き書き」を通して発見しよう」
「聞き書き」を初めて行う人向けに聞き書きを行う意味を伝え、「聞き書き」をする仲間作りも兼ねて聞き書きについてのグループディスカッションを行う。

第2回目「聞き書きの実践編」聞き書き作家による演習とグループディスカッションを行う。聞き書き作家との繋がりをつくることで、その後、聞き書きを行っていくときに添削をお願いできる。今後、地域で聞き書きを根付かせていくためにも聞き書きの質の向上は欠かせない。そのため、継続的な地域サポート支援の一環で共同実施者との協議の上取り入れた。聞き書き作家に関する経費は終わりよければいせの会から支出されるため、本活動では予算計上しない。

第3回目「聞き書きの講評」で、他者の作品に学ぶ。「聞き書き」は語り手と聞き手の協働作品であるため、同じ人に「聞き書き」を行っても、異なった作品ができあがる。そこからも「聞き書き」の真髄、魅力を学ぶ。また、地域に根付かせるためのグループディスカッションを行う。

聞き書き実施後のミーティングで疑問点や困りごと等をディスカッションし、次年度の「聞き書き」活動に向けて検討する。

3.期待される活動成果等 

  • 「聞き書き」に興味を持ち、身の回りの人に「聞き書き」をしてみようと思える。
  • 「聞き書き」の語り手である高齢者に対する見方が再確認でき、高齢者の強みを見出す視点が強化される。
  • 「聞き書き」をする仲間作りができる。

平成29年度活動状況報告書