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29_外国人児童生徒の学びの継続を目指す支援活動-キャリア形成につながる大学見学ツアーの実施-

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

三重県における日本語指導が必要な児童生徒数は小学校1,213名、中学校464名であり、在籍率は小学校で35%、中学校で36%となっている(文部科学省平成26年度調査に基づき算出)。在籍率は全国的にみても非常に高い数値であり、県内においては学校現場、教育委員会、ボランティア団体等を中心に様々な教育支援や取り組みが先駆的に実施されおり、小中学校での教育の充実は目覚ましい。しかし、近年、義務教育終了後、子どもたちの学びの継続性が問題視され始めており、学びに対する意欲を維持していくことが大きな課題となっている。

現在、高校進学に関する津市や三重県の取り組みとしては、教育委員会による「高校進学ガイダンス」「就学ガイダンス」の実施、三重県国際交流財団による「高校進学ガイダンスガイドブック(多言語対応)」の発行等が挙げられる。これらの継続的な取り組みにより、津市内の外国人生徒の高校進学率は92.3%(2016年3月津市教育委員会調べ)まで上昇してきているが、反面中退者も多く、学びへの意欲の維持が非常に難しいのが現状である。その背景には、日本語能力、家庭環境、経済面等、様々な要因があると考えられるが、子どもたちが高校卒業後の将来像を描けないため、学びの意欲が維持できないことも大きな要因であろう。

そこで、本活動では外国人集住都市会議会員都市でもある津市内在住の外国人生徒中学3年生を対象に「三重大学ツアー」を実施し、構内見学、授業見学、学生との交流等を通して、高校への進学に留まらず、大学進学、希望する職業までも具体的に捉える機会を提供したい。 

2.活動する地域と内容

津市内外国人生徒中学3年生30名程度を対象に、本学教育学部・人文学部を中心とし、教室や授業の見学、図書館やメイプルホールの見学、学食の利用等を予定している。

 授業は、教育学部「日本語教育実習」、人文学部「多文化共生の社会学」を考えており、見学だけでなく、大学生との交流や意見交換も行う。活動の際には、複数の学生が生徒たちをグループ別に案内し、安全の確保につとめる。

3.期待される活動成果等

大学での授業、図書館・学生食堂などの施設の利用、大学生との交流等の体験を得ることによって、外国人生徒は、高校卒業後の選択肢として、大学進学を具体的なイメージとして持つことができ、高校での学びの意欲の維持につながることが期待できる。

また本学学生にとっては、活動に参加し、外国人生徒と交流することで、現在の多文化共生化が進む学校現場や社会において必要とされる異文化理解を促進し、国際的視野を育む契機となる。さらに、本活動の効果を紀要等で報告することにより、外国人児童生徒へのキャリア形成に関する教育上の課題を周知し、さらに充実した取り組みへの基盤となり得る。

平成29年度活動状況報告書