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28_津市の幼児児童生徒の体力向上のための取り組み

【活動の概要】

1.本活動の背景、必要性、目的
 津市では、平成32年度以降に全面実施が予定されている次期学習指導要領の改訂を見据え、今年度より3年間の集中取組期間を設定し、体系的な「授業改善の仕組みづくり」に取り組んでいる。その中の新規事業のひとつとして、幼稚園、小・中学校における体育科教育の指導の充実が掲げられている。これは全国体力・運動能力調査(対象は小学校5年生と中学校2年)9種目の調査結果が、津市の小学校は全国との比較においてほとんどの数値が下回っているという状況に鑑み、日々の保育や体育授業の改善を通して、子どもの体力向上を図ろうとするものである。また、中学校とは異なり教科担任制をとっておらず、体育科の教科用図書が存在しない幼稚園、小学校教員を中心とした体育科教育の学びを支援する体制は、特に新規採用教員が増加している津市において、喫緊の課題となっている。
 そこで本活動では、津市の子どもの体力・運動能力等の現状を把握し、体力の向上を図るため、大学等関係機関と連携・協力をしながら有効な実践及び研修体制の取組について研究を行うとともに、三重大学教育学部保健体育科教育学研究室(応募者、学内活動実施者)と体力向上推進チーム(共同実施者)と津市内の学校園(幼稚園36園、小学校53校、中学校22校)をネットワーク化した教員の学びの支援システムを構築することを目的とする。

2.活動内容
 本年度は、①幼児期から連続した子どもの育ち(発育・発達)の重視②子どもの学び(学力)を支えるための身体育ての改善・充実③感覚統合の視点に基づいた運動(遊び)指導の改善・充実④日常的に運動に親しむ取組の充実⑤家族や地域への発信の5つの視点から、「津市体力・運動能力向上のための推進プログラム(仮称、以下「推進プログラム」)」の作成と実践と教員研修を目指す。
 役割分担としては共同実施者(津市教育委員会事務局教育研究支援課・学校教育課)により企画、調整がなされ、津市内の学校園長代表と幼小中学校教員代表、及び久居高等学校普通科スポーツ科学コース教員で体力向上推進チームが組織され事業が進んでいく。具体的な作業は、二つのワーキングチーム(幼稚園・小学校低学年チーム、小学校高学年・中学校チーム)のもとで展開していく。大学側としてはこれまでの研究成果を活かし、子どもが運動に夢中になり、体力・運動能力が向上していく「推進プログラム」の作成の支援を行うと同時に、津市内のすべての学校園における「推進プログラム」を実践していくための教員の学びの支援を行っていく。

3.期待される活動成果等
 本事業は津市長と津市教育委員会がそれぞれの権限を組み合わせ、子どもの未来を考える総合教育会議を連動しており、平成28年度中に市長が策定する「教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱」にむけた事業として位置づいているため、津市内すべての学校園が対象となっている。そのため、「推進プログラム」に対する普及率や実施率は高く見込め、取組の成果や改善点が確実に得られるものと考えられる。また、幼稚園から高等学校までの教員が参集し、組織(体力向上推進チーム、ワーキングチーム)を立ち上げ、ボトムアップ的に「推進プログラム」を開発・実践・研修を展開していく事例は全国でも数少ない。この事業を軌道に乗せることができれば、「津市・三重大学スタイル~教員によるアクティブ・ラーニング」として全国にアピールすることが可能である。

平成28年度活動状況報告書